建設技術研究所、25年12月期営業・経常増益予想、受注・売上高が堅調に推移

 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は総合建設コンサルタントの大手である。グローバルインフラソリューショングループとしての飛躍を目指し、事業ポートフォリオ変革や成長基盤再構築に取り組んでいる。25年12月期は特別損失計上で最終減益だが、営業・経常増益予想としている。受注・売上高が順調に拡大し、販管費等の増加を吸収する見込みだ。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は8月の最高値圏から利益確定売りで反落したが調整一巡感を強めている。上値を試す展開を期待したい。

■総合建設コンサルタント大手

 総合建設コンサルタントの大手である。河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持ち、24年5月に湯浅コンサルティングを子会社化、24年10月にインフォメティスに出資して業務提携、24年11月に広建コンサルタンツを子会社化、25年2月にワイドと業務提携、アイ・ディー・エーと業務提携した。なお農業関連事業を展開する子会社のCTIフロンティアについては、グループ事業ポートフォリオの最適化を図ることを目的として25年7月に株式譲渡した。

 海外は、建設技研インターナショナルが東南アジア、英国Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)が英国を中心に展開している。25年1月には建設技研インターナショナルがインドのConsulting Engineers Groupと業務提携した。25年5月には建設技研インターナショナルがインドネシアのPT Agrinas Palma Nusantaraと業務提携に関する覚書を更新した。

 24年12月期のセグメント別の業績は、国内建設コンサルティング事業の受注高が23年12月期比5.7%増の657億24百万円、売上高が3.8%増の669億45百万円、営業利益が3.7%減の86億10百万円、海外建設コンサルティング事業の受注高が5.4%減の286億76百万円、売上高が7.5%増の307億33百万円、営業利益が27.9%減の7億73百万円だった。

■中期経営計画2027

 グローバルインフラソリューショングループとして飛躍することを目指し、CTIグループ中長期ビジョン「SPRONG2030」では、目標数値(25年2月14日付で上方修正)に、30年12月期の売上高1300億円(国内コンサルティング事業940億円、海外コンサルティング事業360億円)、営業利益150億円、営業利益率11%以上、ROE12%以上、社員数5000人を掲げている。

 そして中長期ビジョン目標達成に向けた第2ステップとなる中期経営計画2027(25年2月策定)では、目標数値を27年12月期の売上高1100億円、営業利益120億円、営業利益率11%、ROE12%、基本戦略の2本柱は事業ポートフォリオ変革と成長基盤再構築としている。

 事業ポートフォリオ変革ではコア事業領域の深化、成長分野(エネルギー、情報提供サービス、CM/PM)の加速、新規事業の探索、海外事業の拡大を推進する。売上高の計画は、27年12月期がコア事業610億円、海外事業325億円、成長分野135億円(エネルギー25億円、情報提供サービス45億円、CM/PM65億円)、新規探索30億円で、30年12月期がコア事業670億円、海外事業360億円、成長分野170億円、新規探索100億円としている。

 成長基盤再構築では人的資本への投資強化、DX/生産システム改革、サステナブルチャレンジ、グループガバナンス強化、資本コストや株価を意識した経営(中期経営計画2027策定に合わせてアップデート)を推進する。ROE目標の実現、持続的なキャッシュ・フロー創出、成長投資、株主還元等により企業価値向上を目指す。株式還元については、連結配当性向30%以上を最低水準として株主還元を実施するほか、中期経営計画2027中はDOE3%を基本方針とする。

 なお25年3月には、中期経営計画2027に基づく新技術開発や新事業開発に向けて、オープンイノベーション拠点「CTIグループイノベーションスタジオ」を開設した。25年4月には、女性活躍推進法に基づいた一般事業主行動計画(計画期間25年4月1日~28年3月31日)を策定した。

■新分野・新事業への展開を加速

 22年1月には新分野や新事業への展開を加速するため、SBIホールディングス<8473>の子会社SBIインベストメントが運営する「SBI4+5ファンド」に出資した。本ファンドが出資するスタートアップ企業を支援するとともに、スタートアップ企業との連携による技術開発や事業開発に取り組む。

 25年4月には木質バイオマス利活用に関するコンサルティングサービスを開始した。25年6月には実証団体7社と連携し、総務省の地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)における実証団体に採択され、佐賀市での実証を開始した。

■25年12月期営業・経常増益予想

 25年12月期連結業績予想(特別損失計上に伴い8月12日付で親会社株主帰属当期純利益を期初予想比6億円下方修正)は、売上高が前期比2.4%増の1000億円、営業利益が6.4%増の100億円、経常利益が4.9%増の100億円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%減の63億円としている。グループ全体の受注高は5.9%増の1000億円の計画である。配当予想は75円(期末一括)としている。25年1月1日付の株式2分割を遡及換算すると24年12月期の75円(期末一括)と同額で、予想配当性向は33.1%となる。

 第2四半期累計(中間期)は、売上高が前年同期比0.1%増の507億94百万円、営業利益が12.0%減の59億76百万円、経常利益が11.9%減の60億34百万円、親会社株主帰属中間純利益が22.6%減の37億79百万円だった。

 グループ全体の受注高が11.7%増の609億17百万円となり、売上高も堅調に推移したが、営業利益は販管費の増加や一部案件の原価率悪化などの影響で減益だった。ただし概ね計画水準だった。なお第2四半期の特別損失に、社員寮として使用してきた土地・建物等の固定資産を事業用資産から遊休資産に変更したことに伴う減損損失4億32百万円を計上したほか、関係会社に対する債権放棄損88百万円、保有株式の時価評価による投資有価証券評価損42百万円を計上した。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)に見ると、国内建設コンサルティング事業は受注高が9.7%増の418億25百万円、売上高が0.9%増の358億26百万円、営業利益が8.6%減の59億37百万円、海外建設コンサルティング事業は受注高が16.3%増の190億92百万円、売上高が1.9%減の149億67百万円、営業利益が86.0%減の41百万円だった。海外建設コンサルティング事業は、受注高が建設技研インターナショナルの大型案件受注によって大幅に増加したが、営業利益については建設技研インターナショナルの契約遅れ等による業務進捗率(原価率)の悪化、英国Waterman Group Plcにおける国民保険の企業負担増、人件費高止まりなどが影響した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が301億10百万円で営業利益が58億59百万円、第2四半期は売上高が206億84百万円で営業利益が1億17百万円だった。なお公共事業が主力で業務の進捗が年度末に集中するため、売上高および営業利益は第1四半期に偏重する収益特性がある。

 通期のセグメント別(セグメント間取引消去前)計画は、国内建設コンサルティング事業の受注高が1.9%増の670億円、売上高が3.1%増の690億円、営業利益が8.0%増の93億円、海外建設コンサルティング事業の受注高が15.1%増の330億円、売上高が0.9%増の310億円、営業利益が9.4%減の7億円としている。受注・売上高が順調に拡大し、販管費等の増加を吸収する見込みだ。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 25年8月にはJPX総研および日本経済新聞社が共同で算出するJPX日経中小型株指数の25年度(25年8月29日~26年8月28日)の構成銘柄として新たに選定された。

 株価(25年1月1日付で株式2分割)は8月の最高値圏から利益確定売りで反落したが調整一巡感を強めている。上値を試す展開を期待したい。9月19日の終値は3020円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円77銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2213円71銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約855億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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