東大・ダイヘン・大林組、大阪・関西万博で走行中給電バスの実証実験を開始

■約30台のうち6台に受電システムを搭載し来場者輸送を支援

 東京大学大学院新領域創成科学研究科とダイヘン<6622>(東証プライム)、大林組<1802>(東証プライム)は9月29日、大阪・関西万博で運行するEVバスを対象に、走行中に給電するシステムの実証実験を実施していると発表した。約30台の会場内周回バスのうち6台に受電システムを搭載し、道路や停留所に敷設した送電システムと組み合わせ、乗客を乗せた状態での運用を行っている。日本初となる実証であり、給電効率の検証だけでなく、定時運行における運用や保守も含めた社会実装に近い検証を進めている。

 走行中給電システムの研究開発は、東京大学の藤本教授らが長年取り組んできたもので、2023年には千葉県柏市で国内初の公道実証も実現した。今回の技術はそれを発展させ、より軽量で施工性の高い送電コイルや、EVバス用に対応する電圧変換回路を備えた受電システムを開発した点に特徴がある。また、送電コイルに使用される繊維補強セメント複合材料は製造時のCO2排出量を50%以上削減しており、環境面での優位性も持つ。これらの成果はNEDOの助成事業の支援によるもので、9月29日に開催された電気学会の合同研究会でも報告された。

 実証は2025年4月13日から10月13日までの184日間、万博会期中を通じて継続する予定である。研究グループは得られた成果をもとに、今後は高速道路や大阪市内の路線バスでの実証試験を2028年度に目指しており、社会インフラとしての早期実装を狙う。走行中給電の実用化が進めば、EVバスをはじめとする公共交通の利便性向上と脱炭素化に向けた新たな選択肢となる可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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