シンバイオ製薬、ブリンシドフォビルが厚労省より希少疾病用医薬品に指定

■医療ニーズ高い希少疾患に対応、研究開発支援で承認取得を後押し

 シンバイオ製薬<4582>(東証グロース)は9月30日9時15分、造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象に開発中の注射剤ブリンシドフォビル(IV BCV)が、厚生労働省から希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されたと発表した。対象疾患は小児から成人まで幅広く発症し、致死的経過をたどることもあるが、確立した治療法が存在せず、医療上の必要性が高い領域とされている。今回の指定により研究開発費助成や税制優遇、治験相談、審査手数料の減額、薬価優遇、再審査期間の延長といった包括的支援を受けられることとなり、開発加速と事業性向上が期待される。

 同剤は米国で実施された第2相臨床試験で高い抗ウイルス効果を示し、POC(有効性の初期確認)を確立した実績を持つ。これを踏まえ、欧州医薬品庁への治験申請を皮切りに、日米英を含む国際共同第3相臨床試験の開始に向け準備を進めている。ブリンシドフォビルは既存のシドフォビルに比べ、腎毒性や骨髄抑制といった重大な副作用が認められていない点も特長で、CMVやEBVを含む広範な二本鎖DNAウイルス感染症に有効性が期待されている。欧州では免疫不全患者のアデノウイルス感染症などで既に希少疾病用医薬品指定を取得しており、米国ではファストトラック指定も受けている。

 同社は2019年にグローバルライセンスを取得して以来、造血幹細胞移植後のウイルス感染症、血液がん・固形がん、脳神経変性疾患の3領域を柱に開発戦略を展開してきた。第1の柱であるアデノウイルス感染症については年内に国際共同第3相試験の開始を目指しており、第2の柱となるNK/T細胞リンパ腫での試験も進行中で、2028年中の承認申請を視野に入れる。脳神経変性疾患領域では、多発性硬化症や進行性多巣性白質脳症を対象に臨床試験を予定する。吉田文紀社長兼CEOは「今回の日本での指定はグローバル展開に向けた重要な一歩であり、国際共同試験を通じて世界の患者に早期に貢献していく」と強調した。なお、同件が2025年12月期業績に与える影響はないとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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