出光興産など4社、「姫路蓄電所」が運転開始、電力系統安定化へ大型蓄電池稼働

■出光・レノバ・長瀬産業・SMFLみらいが共同出資、カーボンニュートラル実現へ一歩

 出光興産<5019>(東証プライム)は10月10日、レノバ<9519>(東証プライム)、長瀬産業<8012>(東証プライム)、SMFLみらいパートナーズと共同で開発した「姫路蓄電所」(兵庫県姫路市)の運転を開始したと発表した。4社が共同出資する同蓄電所は、送配電ネットワークに直接接続される大型の系統用蓄電池を備え、再生可能エネルギーの変動を吸収し電力需給バランスを安定化させることを目的としている。設備は出光興産の兵庫製油所跡地を活用し、リチウムイオン電池による出力15MW・蓄電容量48MWhを備える。事業主体は合同会社姫路蓄電所で、出光興産が51%を出資し運用・電力取引・保守を担う。レノバと長瀬産業がそれぞれ22%を出資し、エンジニアリング支援を行い、SMFLみらいパートナーズが5%を出資してプロジェクトファイナンスを提供する。

 同蓄電所では、電力の需給をリアルタイムに調整する「需給調整市場」や、将来の電源供給力を確保する「容量市場」を活用し、蓄電池を用いた電力事業の収益モデル確立を目指す。出光興産は電力・再エネ分野で培った技術や人材を活用し、蓄電事業を新たな収益の柱に育てる方針を示した。レノバは自社初の系統用蓄電所の稼働を、2030年までに蓄電事業0.9GWを含む5.0GW体制構築を掲げる中期経営計画の第一歩と位置づける。長瀬産業は蓄電池事業の知見を活かし、今後O&Mや技術デューデリジェンスなどのソリューション提供も展開する方針。SMFLみらいパートナーズは、ファイナンス面から脱炭素関連事業を支援しており、系統用蓄電池分野を今後の重点領域と位置づけている。

 再生可能エネルギーは天候や時間帯により発電量が変動するため、電力需給の安定化が課題とされる。蓄電池を用いる系統用事業は、こうした変動を吸収して安定した電力供給を可能にする仕組みとして注目されている。今回の姫路蓄電所の稼働により、地域電力網の安定化と再エネ主力電源化の推進に寄与することが期待される。出光興産ら4社は今後も安全運営を最優先に、再生可能エネルギーの普及と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させるとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■環境要因は50%、漁獲圧は25%、状態空間モデルで初の定量評価  東京大学は11月1日、日本周辺…
  2. ■ドジャース、球団史上初の2年連続制覇  ロサンゼルス・ドジャースは、2025年MLBワールドシリ…
  3. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  2. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  3. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  4. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…
  5. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  6. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る