リコー、推論性能を強化した日本語LLMを開発、GPT―5と同等の水準を達成

■金融・製造・医療分野への展開視野に「使えるAI」提供を推進

 リコー<7752>(東証プライム)は10月10日、推論性能を強化した700億パラメータの日本語大規模言語モデル(LLM)を開発したと発表した。同社が提供するオンプレミス導入型の「金融業務特化型LLM」では、有価証券報告書などの金融データを用いて専門知識を追加学習させ、多段推論能力(Chain―of―Thoughts)を搭載した。これにより、融資稟議など専門性の高い業務の自動化や支援が可能となり、米OpenAI社のGPT―5と同等レベルの性能を確認したという。今後は製造業や医療など他分野にも応用を拡大し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する方針である。

 同モデルの性能は、日本語対話評価「Japanese MT―Bench」、タスク複合評価「ELYZA―tasks―100」、日本語金融特化評価「japanese―lm―fin―harness」などで検証された。結果として、リコーのLLMはいずれのベンチマークにおいてもGPT―5とほぼ同等のスコアを示し、金融特化分野では他のオープンソースモデルを上回った。融資審査に特化した独自評価でも高得点を記録しており、企業信用分析や財務評価などのタスク遂行能力を高く示した。評価にはGPT―4.1を審査モデル(llm―as―a―judge)として採用している。

 リコーは今回のモデルを、東京科学大学や産業技術総合研究所などが開発した「Llama―3.3―Swallow―70B」を基盤として構築した。独自データによるインストラクション・チューニングや、複数モデルを統合する「モデルマージ」、指示追従能力を抽出する「Chat Vector」技術を組み合わせ、高精度化と省リソース化を両立させた。オンプレミス環境で企業独自データを追加学習できる点が特徴であり、クラウド依存を避けた安全な運用が可能という。同社は1980年代からAI研究を継続し、画像認識や自然言語処理、音声対話などを統合したAIエージェントの開発も進めている。リコーグループは世界約200の国・地域で事業を展開し、DXとワークプレイス変革を通じて「はたらく」の未来を支える方針を掲げている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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