住友化学、田中化学研を完全子会社化、EV電池材料の強化へ

■2026年1月効力発生、田中化学は東証スタンダード上場廃止へ

 住友化学<4005>(東証プライム)は10月28日、田中化学研究所<4080>(東証スタンダード)を完全子会社化するための株式交換契約を締結したと発表した。住友化学を株式交換完全親会社、田中化学を完全子会社とするもので、効力発生日は2026年1月30日を予定。田中化学は同年1月28日に東京証券取引所スタンダード市場で上場廃止となる見通し。株式交換比率は変動制を採用し、田中化学株式1株あたり424円を住友化学株式の平均価格で除して算定される。

 住友化学は、二次電池用正極材料などを手がける田中化学の技術力を中核に、EV市場の環境変化に対応した研究開発と構造改革を加速する方針。田中化学は、主力取引先ノースボルト社の破産などで業績が悪化し、2025年3月期に続き26年3月期も純損失を見込むなど厳しい経営環境にある。両社は、独立性の確保や少数株主保護の観点から特別委員会を設置し、第三者算定機関による評価を経て株式価値424円が妥当と判断した。

 完全子会社化により、住友化学は田中化学の資金繰り安定化や開発体制強化を推進し、グループとしての事業最適化を図る。上場廃止に伴い田中化学は資本市場での資金調達機会を失うが、住友化学の支援で経営基盤の強化が可能となる。田中化学株主は対価として住友化学株式を取得し、グループの成長や株価上昇の成果を享受できる構造となる。両社は同取引を通じ、電池材料分野における競争力向上と持続的な企業価値の向上を目指す。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■開発者や投資家に加え、警鐘を鳴らす識者やアーティストも選出、多様な視点でAIの未来を問う  米T…
  2. 【効率化の先に広がる新しい働き方のルール】 ■広がり始めた「AI格差」  生成AIの利用が急速に…
  3. ■R35 GT-R最終生産、累計4万8000台が築いた伝説  日産自動車<7201>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  2. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  3. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  4. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  5. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  6. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る