東京証券取引所、オルツ上場廃止を受け審査強化、新規上場時の会計不正防止へ

【売上高水増しの循環取引を教訓に、不正リスクに応じた審査を徹底】

■オルツ不正会計を受け再発防止策を整理

 東京証券取引所は12月12日、新規上場時の会計不正事例を踏まえた再発防止策を取りまとめ、上場審査の強化方針を発表した。AIを活用した議事録作成サービスで急成長し、2024年10月に新規上場したものの、売上高の約9割を水増しする循環取引が発覚し、2025年8月に上場廃止となったスタートアップ企業「オルツ」の事案を重く受け止めた対応である。IPO連携会議での議論を踏まえ、取引所および日本取引所自主規制法人としての再発防止策を整理した。

■循環取引リスクを踏まえた上場審査の高度化

 循環取引が生じやすいビジネスモデルを念頭に、代理店利用比率が高い場合には、実質的な仕入先・販売先の状況を重点的に確認する。上場申請時の提出書類には、主要な実質的取引先の会社概要などの記載項目を追加する。不正リスクが高いと判断される場合には、同様の対応を継続的に実施する方針とした。

 また、上場準備期間中に監査法人や主幹事証券会社が交代している場合には、その経緯や体制を確認し、必要に応じて前任監査法人へのヒアリングを行うなど、審査の実効性を高める。

■内部通報体制を重視し不正情報の早期把握へ

 内部通報体制の整備状況についても、上場審査における確認を強化する。経営陣から独立した通報窓口の設置、情報提供者の秘匿、不利益取扱いの禁止、不正実行者に通報内容が伝わらない工夫などが適切に整備されているかを確認する。

 あわせて、取引所の通報窓口の存在を上場準備会社の役職員に周知し、当該窓口を通じて得られた情報を主幹事証券会社や監査法人と円滑に共有する体制を整える。

■IPO関係者と連携し審査能力を底上げ

 IPO関係者との連携を強化し、審査能力の底上げも進める。日本公認会計士協会や日本証券業協会と連携し、監査および引受審査の信頼性向上を図るほか、自主規制法人内での研修充実、専門家ヒアリング、AI活用による不正リスク情報の収集・分析を進める。

 さらに、上場準備会社の経営幹部や社外取締役、監査役に対し、「上場の責任」や不正防止体制に関する啓発を強化し、オルツのような新規上場後の不正発覚を未然に防ぐ考えを示した。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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