住友重機械工業、タイ・バンコク病院に次世代陽子線治療システムを初受注

■タイ最大の医療グループ向けに供給、2029年稼働予定

 住友重機械工業<6302>(東証プライム)は10月30日、タイのバンコク病院本院内にある「ワタノソットがん病院」向けに、次世代陽子線治療システムを受注したと発表した。同システムはバンコク市内で新設される「陽子線治療センター(仮称)」に導入され、2029年から稼働を開始する予定である。東南アジアの医療機関における陽子線治療システムの受注は同社として初の事例となる。発注元のBangkok Dusit Medical Services社は、タイ国内で約60の病院を展開する同国最大の民間医療グループであり、同システムの導入により国際水準のがん治療体制を一段と強化する。

 導入予定のシステムは、1基の加速器で複数の治療室を運用できるマルチルーム型で、360度回転ガントリーを備えた治療室と将来拡張用の1室から構成される。広視野コーンビームCTを搭載し、シンプルで高精度な患者位置決めを実現するほか、従来機と比較して建屋体積を約30%削減するコンパクト設計を採用している。また、肺や肝臓など動く臓器への照射に適した高速スキャニング技術を導入し、短時間で精密な治療を可能とする。加速器には世界最大出力の陽子線治療用超電導サイクロトロンを搭載している点も特徴である。

 陽子線治療は、水素イオンを加速して腫瘍に照射し、がん細胞のみを狙う高精度放射線治療法である。正常組織への影響を抑え、副作用を軽減できるため、患者の社会生活を維持しながら治療を継続できる利点がある。住友重機は今回の受注を契機に、東南アジアをはじめとする海外市場でのがん治療技術の普及を一層推進し、「健康で長生きできる社会の実現」に向けた医療分野の取り組みを強化する方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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