【マーケットセンサー】トランプ米大統領が核実験再開を指示、中・ロ圧力の裏に「ビジネス戦略」か?

■33年ぶりの核実験再開指示

 10月30日、トランプ米大統領は国防総省に対し、核兵器実験の即時開始を指示したと明らかにした。実施されれば33年ぶりとなる。大統領は韓国・釜山での中国の習近平国家主席との会談を前に、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」搭乗中に交流サイト「トゥルース・ソーシャル」で突然の発表を行った。「他国の核実験プログラムを踏まえ、同等の核兵器実験を開始するよう戦争省に指示した」と投稿し、詳細説明や記者対応を拒んだ。実験内容が核爆発実験か、核搭載ミサイルの試験かも明確ではない。

■中ロ牽制と同時に経済的思惑も

 今回の指示は、中ロ両国への政治的圧力として受け止められている。特にロシアの戦術核配備、中国の核兵器近代化を牽制する狙いがあるとみられる。一方で、同氏が掲げる「アメリカ・ファースト」の経済原理に基づく商業的側面も無視できない。防衛産業は米国経済の中核的成長分野であり、地政学リスクの高まりが同分野への資金流入を加速させる。トランプ政権期には軍需関連株が常に恩恵を受けており、今回の核実験再開指示も経済政策の一環としての色彩が濃い。

■米防衛企業と日本関連銘柄に波及

 米国では、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイセオン(現RTX)などの大手防衛企業が核運搬・制御・監視システムを手がけており、政府支出の拡大が企業収益を押し上げる構図ができている。原子力燃料や核部品を供給するBWXテクノロジーやセントラス・エナジーも恩恵を受ける見通しだ。日本市場でも、浜松ホトニクス<6965>(東証プライム)、三菱電機<6503>(東証プライム)、助川電気工業<7711>(東証スタンダード)、東洋炭素<5310>(東証プライム)、神島化学工業<4026>(東証スタンダード)などが、核融合・防衛分野の関連銘柄として注目を集めている。素材や冷却系部品を扱う企業にも思惑買いが広がっており、短期的な資金流入が予想されている。

■安全保障と市場の交錯

 トランプ氏は「安全保障の強化」を掲げる一方で、政策を市場戦略として活用する手腕を持つ。核実験の再開は国際的な非難を招く可能性があるが、同氏にとっては防衛需要の拡大を通じて米産業界と株式市場を活性化させる“取引”でもある。国家戦略と企業利益の境界が曖昧になる中、米国は再び「軍事と経済の融合国家」へ傾斜しつつある。中ロへの圧力であると同時に、トランプ流のビジネス型外交が世界の安全保障秩序を揺さぶっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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