大塚製薬、眼科遺伝子治療薬「4D-150」で4DMT社と提携、日本を含むAPAC地域の独占権取得

■アジア・オセアニア市場での開発・販売を主導、視覚障害治療に新たな選択肢

 大塚ホールディングス<4578>(東証プライム)傘下の大塚製薬は10月31日、米国4Dモレキュラーセラピューティクス社(4DMT社)と、眼科遺伝子治療薬「4D-150(抗VEGF薬)」に関するライセンス契約を締結したと発表した。同契約により、大塚製薬は日本を含むアジア・オセアニア地域における独占的開発・販売権を取得する。対象疾患は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)で、いずれも日本で視覚障害の主要因とされる疾患である。大塚製薬は契約一時金85百万米ドルを支払い、開発進捗や売上達成に応じたマイルストーン、さらに段階的ロイヤルティを4DMT社に支払う。承認申請と商業化活動は大塚製薬が主導し、フェーズ3試験は4DMT社がグローバルで継続する。

 4D-150は、新規アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを利用して網膜細胞に複数の治療遺伝子を導入し、4種類のVEGFファミリーを抑制する設計となっている。これにより、一度の硝子体内投与で長期間の効果持続を目指す。臨床試験では最長130週間の持続効果が確認されており、既存治療が抱える「継続投与の負担」や「治療離脱による病勢進行」といった課題の解決が期待される。nAMDは50歳以上の約1.2%が罹患し、国内の推定患者数は69万人に達する。加齢や糖尿病に伴う視覚障害は高齢化社会における深刻な課題であり、持続的な治療効果を持つ新薬の開発は医療現場から強く求められている。

 代表取締役社長の井上眞氏は「視力低下が日常生活に深刻な影響を及ぼすこれらの疾患領域で、生涯に一度の投薬を目指す革新療法を導入する」とコメントした。4DMT社CEOデービッド・カーン氏も「アジア・オセアニア地域の未充足ニーズに応える重要な提携であり、大塚製薬の地域知見を活かして治療アクセスを加速させたい」と述べた。グローバルフェーズ3試験「4FRONT-2」は年内にAPACで開始し、日本では2026年1月に臨床試験施設が追加される予定である。今回の契約により、大塚製薬は遺伝子治療分野におけるプレゼンスを一段と強化し、眼疾患治療の新たな地平を切り開く。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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