富士通Japan、名古屋医療センターで生成AI導入、本格運用を開始

■退院サマリ作成を7割削減、名古屋医療センターが生成AIを全診療科に展開

 富士通<6702>(東証プライム)グループの富士通Japanは11月19日、独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターにおいて、生成AIを活用した医療文章作成支援サービスの本格運用を開始したと発表した。全診療科を対象に退院サマリ作成で生成AIが利用可能となり、医師の業務負担軽減と診療の質向上を目指す。同センターでは年間約1万6000件の退院サマリ作成が必要で、情報の選定や転記作業が負担となっていた。整形外科での試験導入を通じ、作成時間を従来の28分から8分へと7割以上短縮できたことを確認している。

 同サービスは電子カルテの膨大な診療情報から生成AIが目的に沿った文書ドラフトを作成する仕組みで、医師の情報整理作業を大幅に削減する。同センターでは年間約5000万円以上のコスト削減効果が見込まれるほか、診療情報の参照範囲を柔軟に設定できるため、他診療科での治療経過を踏まえた判断が可能となり、医療安全にも資することが確認された。クラウド型でありながら専用回線による閉域ネットワークを採用し、診療データを生成AIの学習に用いずクラウドにも保存しない設計とすることで、個人情報保護に配慮した利用環境を構築している。HL7 FIHRにも対応し、医療文書として求められる正確性と信頼性の向上に取り組む。

 富士通Japanは今後、生成AIの適用範囲を医療文章作成から診療業務全般の効率化、診療情報の利活用などへ広げ、医療機関のデジタル最適化を包括的に支援する方針である。これらの取り組みを通じ、持続可能な医療体制の構築と「デジタルホスピタル」の実現を後押しし、医療現場の生産性向上と安全性確保に寄与していく考えだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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