原油急落、トランプ発言で「戦争プレミアム」崩壊、120ドル相場が急反転

■戦争リスクの巻き戻し

 トランプ米大統領は3月9日、イランとの戦争について「イランとの戦争は very soon(ごく近く)終わる」との見方を示し、原油価格が下がる可能性を示唆した。フロリダでの会見では、イランへの石油関連制裁の一部免除を検討する意向に加え、米海軍がホルムズ海峡を通過するタンカーを護衛する計画にも言及した。中東情勢を巡る緊張が続く中、供給リスクの緩和につながる具体策が示されたことで、市場の注目を集めた。一方、イランの革命防衛隊は「戦争を終わらせるのはイランだ」とする声明を発表しており、情勢の先行きには依然として不透明感が残る。

■戦争プレミアムで急騰した原油

 原油市場は2月末から3月初旬にかけて急騰していた。米国とイスラエルの連携による対イラン軍事行動が激化し、ホルムズ海峡を巡る輸送リスクが強く意識されたためである。ブレント原油は2月末の70ドル台から80ドル台後半へ上昇し、一時は90ドル近辺まで上伸した。短期間で20〜30%上昇する異例の値動きとなり、市場ではホルムズ海峡封鎖などの供給遮断を最悪シナリオとして織り込む動きが広がった。その結果、ブレントやWTIは一時120ドル近辺まで戦争プレミアムが上乗せされた水準に達していた。

■政策メッセージが転換点に

 こうした状況の中で、同大統領は「戦争は長引かない」「原油価格は下がる」との見方を繰り返し示唆した。さらに、石油関連制裁の一部免除やホルムズ海峡のタンカー護衛といった具体策に言及したことで、中東からの供給途絶リスクが後退するとの見方が広がった。加えて、G7と国際エネルギー機関(IEA)が戦略備蓄の放出を検討しているとの報道もあり、供給安定への期待が強まった。これを受け、積み上がっていたヘッジ買いと投機ロングの巻き戻しが進み、WTIは一時10%安の85ドル前後まで急落、ブレントも120ドル近辺から90ドル前後へと急反落した。

■市場はファンダメンタルズへ回帰

 もっとも、中東情勢の先行きは依然として流動的である。今回の急騰は、ホルムズ海峡封鎖などの最悪シナリオを織り込んだ地政学リスクによる行き過ぎた上昇との見方も多い。2026年の原油需給は「やや供給過剰」との見方が市場のコンセンサスであり、ブレント60ドル前後が妥当水準との見通しも示されている。戦闘の小康化や備蓄放出の可能性が意識される中、原油価格は再び需給ファンダメンタルズに沿った水準を探る動きとなりつつある。今後は中東情勢の再激化の有無に加え、G7・IEAによる備蓄放出の実施、さらにOPECプラスの対応が価格動向を左右する焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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