OpenAIが「GPT-5」正式発表、博士号レベルの知能へ、業務効率化から社会課題解決まで応用拡大

■論理的推論と安全性を大幅向上

 OpenAIは8月7日(現地時間)、次世代AIモデル「GPT-5」を正式発表し、無料利用者を含む全てのChatGPTユーザーへの提供を開始した。論理的推論能力やコーディング精度を強化し、事実と異なる内容をもっともらしく生成する「ハルシネーション」を削減。GPT-4o比で約20%、推論モードではo3系モデル比で約70%の低減を実現した。高速応答型モデルと深い推論型モデルを統合した「統合型AI」として機能し、状況に応じて最適な仕組みへ自動切り替えする「ルーター機能」も備える。

■「人がAIを使う」から「AIが人に最適化」へ

 最大27万2,000トークンの入力と12万8,000トークンの出力に対応する広大なコンテキストウィンドウを備え、大規模文書やデータの一括処理が可能となった。従来のチャット機能に加え、複雑なプログラム生成、大規模データ分析、クリエイティブ制作など幅広いタスクに対応する。一方、中立性重視の設計により、明確なプロンプト設計がユーザー側に求められる。

■導入事例が国内企業で急拡大

 金融、製造、IT、小売など多業種で活用が進む。三菱UFJ銀行は市場リスク分析の自動化、パナソニックは設備マニュアル生成、ソフトバンクは開発支援ツールへの組み込みを推進。小売業界では顧客対応のAI化やECサイトの記事自動生成で顧客体験を向上。APIや専用マーケットプレイスを通じ、独自システムと連携した業種特化型AIツール開発も加速している。

■DX推進の中核ツールに

 こうした動きはホワイトカラー業務のデジタルトランスフォーメーションを加速させる。金融では分析業務、製造では工場DX、小売・サービスでは顧客対応の質と即時性が向上。GPT-5は業務効率化や創造性発揮、新規事業創出の中核を担い、働き方やビジネスプロセスの抜本的な見直しを促す可能性が高い。

■社会的ルール作りが急務

 急速な性能向上に伴い、誤情報抑制や倫理設計の重要性が増している。企業では利用ガイドラインやプライバシー保護策の整備が進むが、社会全体での規制や指針づくりは途上段階だ。GPT-5は個人・企業・社会のDXを推進する潜在力を持つが、その活用をいかに浸透させ、どのような規範を構築するかが問われる局面に入った。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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