Jトラストは反落も損失計上をインドネシア金融会社株式取得承認がカバーして下げ過ぎ訂正買いが交錯

 Jトラスト<8508>(東2)は、前日3日に9円安の674円と反落して引けた。同日の日経平均株価が、4営業日ぶりに反落し、東証第1部の約8割の銘柄が下落したことから、今年9月12日につけた2番底645円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、下げ過ぎ訂正買いも依然として交錯した。同社株は、今年9月25日に遊戯機関連の連結子会社ハイライツ・エンタテインメント(HE)の株式を譲渡し今3月期第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)決算で損失を計上すると発表して株価が下ぶれ、これがダメ押しとなってその直後の27日には、インドネシアの債権回収事業の連結子会社Jトラストアジアが、延び延びになっていたインドネシアのオートローンのファイナンス会社PT.OLYMPINDO MULTI FINANCE(OMF)の株式取得・第三者割当増資引受をインドネシア金融当局により承認されたと発表しており、Jトラストのグローバル戦略に弾みがつくとして底上げに転じたためだ。金融情勢そのものも、その後オープンした3日の米国市場で、米10年物国債利回りが、3.186%と7年3カ月ぶりの高水準になるなど長期金利の上昇が続いており、利ザヤ拡大余地が大きいとしてフォロー材料となっている。

■OMF孫会社化でインドネシアの三位一体の金融事業成長戦略が加速

 HEは、同社が2014年10月にグループ会社化し総合エンターテインメント事業を担っていたが、新開発の遊技機の販売が想定を下回り、収益計上の長期化や費用先行などの厳しい経営状態が続き、規制強化や競争激化などが続く経営環境下で再建途上にあり、今回、譲渡先の新戦略に沿って事業成長を図ることが、HEとJトラスト・グループの価値最大化につながるとして貸付債権ともども全所有株式を譲渡する。今期2Q業績に24億2800万円の損失を計上予定で、今2019年3月期業績の修正が必要な場合は、速やかに開示するとした。Jトラストの総合エンターテインメント事業は、営業利益が水面下で推移しており、株式譲渡による選択と集中の効果でプラスに働く可能性が予想される。
 一方、OMFの株式取得・孫会社化は、今年4月に発表し当初は7月31日を株式取得日としていたが、インドネシア金融庁の承認取得に時間を要しているとして8月30日に延長、8月30日にはさらに再延長していたもので、今回、9月26日付けで承認を取得した。OMFは、1993年設立のオートローンの老舗で、全土に40店の支店網と大手金融との豊富な取引実績など幅広いネットワークを有しており、韓国に続きインドネシアで銀行、債権回収会社、ファイナンス会社の三位一体の事業体制を構築、東南アジアにおける金融事業を拡充するJトラストの成長戦略に弾みをつける。

 同社の今2019年3月期業績は、営業収益833億7800万円(前期比9.3%増)、営業利益70億7300万円(同3.0倍)、純利益53億1800万円(前期は7億3100万円の赤字)と大幅続伸が予想されている。韓国及びモンゴル金融事業が好調に推移し、東南アジア金融事業では、債権回収部門を強化するなどグローバル展開が収益寄与を強め、日本金融業の債務保証残高も、月次ベースで過去最高を伸ばしていることなどが要因となる。今回の損失計上、OMF孫会社化が業績にどう影響を与えるか今年11月発表予定の今期第2四半期(2018年4月~9月期)累計決算の動向が注目されることになる。

■PERは13倍台、PBRは0.4倍と割り負け年初来高値からの調整幅の半値戻しを指向

 株価は、今期業績の大幅続伸予想で年初来高値1006円まで買い進まれ、今期第1四半期業績の減益着地や相次ぐ世界同時株安の波及で700円台まで下ぶれ、さらにTATERU<1435>(東1)の融資審査書類改ざん問題が響いて直近安値645円へ再調整した。ただTATERU問題が同社業績とは関係のないことが明らかになり、9月末の中間配当の権利取りで718円までリバウンド、配当権利落ち後は今回の損失計上とOMF孫会社化の交錯でも700円台を出没して下値抵抗力を発揮、2番底を形成した。PERは13倍台、PBRは0.48倍と大きく割り負けており、まず年初来高値から同安値への調整幅の半値戻しの825円を目指そう。(本紙編集長 浅妻昭治)

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