【編集長の視点】サイゼリヤは今期純利益が2ケタ続伸も市場予想に未達で利益確定売りが先行し続落

サイゼリヤ

サイゼリヤ<7581>(東1)は、54円安の2491円と続落して始まっている。前日14日大引け後に8月期決算を発表、前2015年8月期業績が、今年4月の上方修正値を上ぶれて着地し、今2016年8月期純利益も2ケタの増収増益を予想したが、純利益が、市場コンセンサスにやや未達となっていることが響き利益確定売りが増勢となっている。きょう15日に日経平均株価が、海外株安を受けて125円安と続落してスタートしていることも響いているが、ただ下値に売り方の買い戻しも交錯している。

■前期純利益は上方修正値を5億円超上ぶれ今期は21%増益予想

同社の前2015年8月期業績は、売り上げが、今年4月の上方修正値を24億7700万円、利益が、同じく6億400万円~5億7400万円それぞれ上ぶれ、前々期比10.9%増収、35.3%経常増益、3.16倍純益増益とV字回復した。円安進行による輸入価格や原材料価格の高騰、人手不足の影響による人件費上昇などの厳しい事業環境が続いたが、国内外での継続的な新規出店で今年7月に上海サイゼリヤが100店舗を達成し、店舗サービスの品質向上、メニューの改善による商品力の強化で日本、海外とも過去最高の売り上げとなり、この増収効果で利益がV字回復、純利益は、前々期に計上した店舗減損損失19億3300万円が消え増益転換率を伸ばした。

今2016年8月期業績は、売り上げ1470億円(前期比5.8%増)、経常利益86億円(同7.4%増)、純利益46億円(同21.9%増)と予想したが、純利益は、市場コンセンサスを1億円強下回る。ただ今年10月5日に大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で、今後、チーズなど乳製品の関税引き下げなどが見込まれ、輸入食材価格の値下がりが実現するとして、業績上ぶれ期待は続くことになる。

■信用取組は薄めながら売り買いが拮抗しTPP関連人気も株価押し上げ効果

株価は、前期業績の上方修正で2817円まで一段上げし、自己株式取得では年初来高値3115円まで買い進まれる二段上げをしたが、期末の配当権利落ちと全般相場の急落が重なってほぼ往って来いの2501円まで調整した。PER評価では割安感は小さいが、TPP関連人気のほか、信用取組は薄めながら売り買いが拮抗しており、下値からは売り方の買い戻し先行で一段の戻りを試す展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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