【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは15年12月期大幅増益、16年12月期も大幅増益予想で収益改善基調

銘柄分析

 ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)は、ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開し、中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進している。2月12日発表の15年12月期は計画を上回る大幅増益だった。16年12月期も大幅増益予想で収益改善基調だ。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、調整が一巡して切り返す動きだ。サイバーセキュリティ関連としても注目される。出直り展開だろう。

■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開

 情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。

 クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。

 企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。

 15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。

 15年7月にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。

■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進

 中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。

 13年8月には米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。

 14年9月には、ネットワークセキュリティの米ThreatSTOP社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結した。そして15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始した。

 15年9月には、米ThreatSTOP社が475万ドルの資金調達を実施し、スタンフォード大学計算機教授のデビッド・チェリントン博士および当社の渡部進代表取締役などが投資した。

 15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。そして15年5月には、米ThreatSTOP社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始した。

 15年4月にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。15年10月には、米トムソーヤ・ソフトウェア社と国内販売代理店契約の締結を発表した。同社が開発したデータ可視化ソフトウェア開発キット「トムソーヤ・パースペクティブ」の国内販売を開始する。

■15年12月期は計画を上回る大幅増益

 2月12日発表した前期(15年12月期)の連結業績は、売上高が前々期(14年12月期)比18.5%増の34億15百万円、営業利益が同5.9倍の1億70百万円、経常利益が1億57百万円(前々期は8百万円)、純利益が同53.1%増の1億01百万円だった。ROEは38.0%で同6.1ポイント上昇、自己資本比率は23.1%で同8.1ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

 売上面では、期末に計上を見込んでいた中規模案件の失注などで計画を48百万円下回ったが、2桁増収だった。セグメント別売上高は、ネットワークソリューション事業が同26.1%増の23億95百万円、ネットワークサービス事業が同3.9%増の10億20百万円だった。

 ネットワークソリューション事業では官公庁向け大型案件を含め、セキュリティ関連や無線LAN関連が好調に推移した。ネットワークサービス事業では、保守・構築といった従来型サービスに加えて、マネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移した。利益面では、円安による仕入原価の上昇や、低採算案件の影響で売上総利益率が低下したが、増収効果やのれん償却減少などで計画を上回る大幅増益だった。

 売上総利益率は32.4%で同4.5ポイント低下、販管費比率は27.4%で同8.5ポイント低下した。営業外収益では保険解約返戻金4百万円を計上した。営業外費用では支払手数料が増加(前々期3百万円計上、前期10百万円計上)したが、為替差損が減少(前々期11百万円計上、前期3百万円計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期66百万円計上、前期0百万円計上)した。特別損失では投資有価証券評価損が拡大(前々期2百万円計上、前期23百万円計上)し、商品評価損25百万円を計上した。また繰延税金資産を新たに30百万円計上した。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)9億39百万円、第2四半期(4月~6月)10億01百万円、第3四半期(7月~9月)6億83百万円、第4四半期(10月~12月)7億92百万円、営業利益は第1四半期48百万円、第2四半期33百万円、第3四半期23百万円、第4四半期66百万円だった。

■16年12月期も大幅増益予想で収益改善基調に変化なし

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月12日公表)は、売上高が前期(15年12月期)比6.9%増の36億52百万円で、営業利益が同47.2%増の2億51百万円、経常利益が同48.5%増の2億33百万円、そして純利益が同53.4%増の1億55百万円としている。なお配当予想については、第2四半期末を無配継続、期末を未定としている。

 引き続き先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、ネットワーク、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。収益改善基調に変化はないだろう。

■監査等委員会設置会社に移行予定

 2月22日に監査等委員会設置会社に移行すると発表した。16年3月29日開催予定の第26期定時株主総会に付議する。

 また2月22日には、資本準備金および利益準備金の額減少ならびに剰余金の処分を発表した。16年3月29日開催予定の第26期定時株主総会に付議する。純資産の部における勘定の組み替えであり、損益および純資産額に変動はなく、業績与える影響はない。

■株価は調整一巡して切り返し

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して2月12日の昨年来安値1700円まで下押したが、その後は急反発して2500円台を回復する場面があった。調整が一巡して切り返す動きだ。

 2月23日の終値2235円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS162円58銭で算出)は13~14倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS342円13銭で算出)は6.5倍近辺である。時価総額は約22億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。収益改善基調でサイバーセキュリティ関連としても注目される。出直り展開だろう。

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