【編集長の視点】グローバルグループはもみ合いも大幅増益業績をテコに「ニッポン一億総活躍プラン」を先取り買い余地は拡大

編集長の視点

 グローバルグループ<6189>(東マ)は、70円高の3270円と3日ぶりに急反発して始まり、高値後は、今年3月30日につけた上場来高値3655円を前に利益確定売りも交錯し50円安と高値でもみ合っている。ただ下値では、今9月期純利益が、前期比2.5倍の大幅増益と予想されていることを手掛かりに、既上場の類似会社に比べて割安として直近IPO(新規株式公開)株買いが、根強く続いている。また、5月に「アベノミクス」の新成長戦略としてまとめられる「ニッポン一億総活躍プラン」で、子育て支援策の一段の規制緩和や補助制度の見直しが盛り込まれることも、同社の保育所運営事業の成長可能性を高めるとして先取り買いされている。

■待機児童解消に向けた制度見直し、補助金優遇などが保育所開発に追い風

 同社の今9月期業績は、今年3月18日のIPO時に売り上げ93億2500万円(前期比34.8%増)、経常利益17億3900万円(同54.1%増)、純利益13億6800万円(同2.55倍)と予想されている。首都圏を中心に認可保育所と独立認定保育所を運営しており、新園開発が、2011年9月期の14施設以来、15施設、15施設、19施設と毎期10施設以上の高水準を続けて前期には施設数が83施設に達し、定員充足率も安定的に推移しており、今期も、15施設の新規開設を予定し、このための補充保育士の人件費増や運営費用を吸収して大幅続伸する。純利益は、前期に計上した減損損失2億9600万円などの特別損失が一巡して大幅増益となる。

 一方、「アベノミクス」の子育て支援策は、待機児童解消加速化プランとして平成28年度の関連予算が、前年度比16.5%増と積極化されているが、「保育園落ちた日本死ね!!!」と匿名ブログの書き込みがあったことをキッカケに政治問題化し、7月の参議院選挙での大きな争点に浮上している。このため、政府の経済財政諮問会議では、子育て関連のサービスに使えるクーポン券の配布が提言され、「ニッポン一億総活躍プラン」では、複数の保育所を運営する事業者への補助金を手厚くする優遇策などが盛り込まれる見込みであり、同社の成長可能性をさらに高めることになる。

■PERは18倍台と既上場の類似会社より相対的に割安で上値チャレンジに拍車

 株価は、公開価格2000円に対して3200円で初値をつけ2475円と調整したものの、厚生労働省が、待機児童解消に向け緊急取組策を明らかにしたことで上場来高値3655円まで急伸し、高値もみ合いを続けてきた。PERは、18倍台と既上場の類似会社の30~40倍評価に比べて相対的に割り負けており、最高値抜けから一段の上値チャレンジに拍車を掛けよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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