【編集長の視点】ヒロセ通商は小幅続落も4月度月次続伸実績を見直し業績期待を高め公開価格水準で割安放置を意識

編集長の視点

 ヒロセ通商<7185>(JQS)は、10円安の820円と小幅続落して始まっている。きょう23日に日経平均株価が、192円安と反落してスタートしていることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社の株価水準は、今年3月18日の新規株式公開(IPO)時の公開価格830円に並んでおり、今期期初の4月月次動向が、前年同月を上回ったことから業績期待を高め割安に放置されているとして下値買いも交錯している。同社の今3月期予想業績は、主要業務の外国為替証拠金取引(FX)事業が、為替変動率やマーケット環境に大きく影響を受け業績予測は困難として開示を行わず、それに代わって月次の営業収益などを早期開示しているが、前2016年3月期業績が、FX取引の活況が続きIPO時予想を上方修正されてV字回復して着地し、配当も大幅に増配したことが連想されている。

■「顧客満足度ランキング」3年連続トップも加わり4月度の営業収益は6.8%増

 今期期初の4月の月次動向は、営業収益が前年同月比6.8%増の5億3200万円、顧客口座数が同55.5%増の41万354口座、取引高が同60.2%増の4594億7200万通貨、預かり証拠金が同24.9%増の374億9000万円と大きく続伸した。為替相場が、4月27日~28日開催の日本銀行の金融政策決定会合に向け追加金融緩和策を期待して1ドル=111円台の円安・ドル高となっていたものが、現状維持と決定されたことから一転して円高に変わり、5月の大型連休中につけた1ドル=105円台に向けて円高・ドル安となるなど大きく変動したことが取引高拡大につながった。さらに通常のFX取引は、投資単位を1万通貨単位としているのに対して、同社では1000通貨単位と小口化するなど独自ビジネスモデルとなっており、「2016年度オリコン顧客満足度ランキングFX部門」で3年連続の総合第1位と評価された効果も上乗せとなっている。

 一方、同社のIPO後の初決算となった前2016年3月期業績は、IPO時予想より営業収益が3億1500万円、営業利益が2億5300万円、経常利益が2億3800万円、純利益が1億6700万円それぞれ上方修正され営業収益63億5600万円(前々期比27.9%増)、営業利益12億5900万円(同2.27倍)、経常利益11億7400万円(同2.41倍)、純利益7億500万円(同3.54倍)と大幅増益で着地した。日銀によるマイナス金利の初導入、原油先物相場の下落などを受け為替変動率が高まりFX取引の取引高が、同28.8%増の3兆9878億通貨となったことが寄与した。配当も、IPO時予想の12円から16円(前々期実績6円)に大幅増配された。

 今3月期予想業は非開示となっているが、米国FRB(連邦準備制度理事会)が、6月14日~15日に開催予定のFOMC(公開市場委員会)で再利上げに踏み切るとの観測が強まって、為替相場が、再び1ドル=111円台まで円安・ドル高に進むなど変動しており、月次動向の続伸から業績期待を高めている。

■PERは実績ベースでわずか5倍台と超割安で上場来高値奪回に再発進

 株価は、公開価格の830円と同値で初値をつけ、期末の配当権利取りも加わりストップ高を交えて上場来高値1050円まで買い進まれ、権利落ちとともに上場来安値785円と調整、その後は公開価格水準を下値限界とする100円幅のレンジ相場を続けてきた。実績ベースでPERはわずか5倍台、配当利回りは1.95%と割安であり、ボックス抜けから上場来高値奪回に向け再発進が加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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