【編集長の視点】ジャパンミートは急反落も3Q好決算と配当・優待制度実施を手掛かりに下値に割安修正期待の押し目買い

 ジャパンミート<3539>(東2)は、84円安の1362円と4営業日ぶりに急反落して始まっている。前日6日大引け後に今年4月21日のIPO(新規株式公開)後の初決算として、今7月期第3四半期(3Q)業績を発表、7月通期業績に対して高利益進捗率を示したうえに、IPO時に未定していた今期配当と株主優待制度の実施を同時公表したが、前日取引時間中に上場来高値1454円まで買い進まれていただけに、目先の利益を確定する売り物が先行している。

 ただ下値には、今7月期通期業績が、生活防衛意識・節約志向が続くなか、2ケタ増益で過去最高を連続更新すると予想されているだけに割安修正の押し目買いも入っている。今回、消費税増税が再延期されるなか、デフレ関連株人気の再燃期待も高めている。

■「異常値販売」の顧客認知度が高まり3Q経常利益は通期予想業績対比で81%と高進捗

 同社の3Q業績は、売り上げ727億9800万円、営業利益34億8600万円、経常利益34億8600万円、純利益20億9300万円で着地した。3Q決算は初作成となるため前年同期比較はないが、7月通期予想業績対比の利益進捗率は、約81~78%と目安の75%を上回った。

 顧客ニーズにあった値頃感のある商品展開を進め、前期から本格的に取り組んでいる「異常値販売」として、特定の商品を大量に販売する手法の顧客認知度が高まり、種類も充実、買上点数が増加しており、店舗戦略では、昨年9月に業務用スーパー「肉のハナマサ」西新橋店を改装し、同10月に関東圏単独店舗「ジャパンミート卸売市場」鳩ヶ谷店を開店したことなども寄与した。

 今7月通期業績は、IPO時予想を据え置き売り上げ958億700万円(前期比4.7%増)、営業利益43億2400万円(同24.4%増)、経常利益43億300万円(同21.0%増)、純利益26億9400万円(同45.2%増)と大幅続伸を見込み、過去最高を連続更新する。

 同社の今期配当は、IPO時に株主への配当を経営上の重要課題として認識し実施を予定しているが、具体的な配当金は未定としていた。今回3Q決算開示と同時に、10円として実施すると発表、前2015年7月期の100円配当に対して、今年2月1日付けで行った1対100の株式分割を勘案すると大幅増配となる。また、同社株式の投資魅力を高めるために株主優待制度も実施、このうち100株以上の株式を保有する株主に2000円相当の精肉関連商品を贈呈する。

■公開価格から約40%高もPER評価はなお11倍台と割安で上値チャレンジに再発進

 株価は、初値を1040円と公開価格1010円をわずかに上回って形成し、上場来安値995円と下ぶれたあと、1210円高値まで買い直されるなどやや強弱感の拮抗するIPO状況となった。大型連休明け後は、全般相場が波乱商状となるなか、公開価格水準でのもみ合いから内需系割安株として逆行高様相を強め上場来高値追いを続けきた。

 公開価格からは39.8%高となりもみあっているが、PER評価では11倍台となお割安で、株主優待制度込みの総合利回りも2.20%と高く、目先売り一巡後に最高値抜けから一段の上値チャレンジに再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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