【編集長の視点】コメダは上場来安値から続伸、直近下げ過ぎIPO株買いが拡大し総合利回り買いも相乗

 コメダホールディングス<3543>(東1)は、11円高の1844円と続伸して始まり、前日20日取引時間中につけた上場来安値1785円から底上げしている。同社株は、今年6月29日に1960円を公開価格に新規株式公開(IPO)されたばかりで、今2月期の続伸予想業績から公開価格割れの株価水準は下げ過ぎで、さらに新設したばかりの株主優待制度込みの総合利回りはインカムゲイン妙味があるとして直近IPO株買いが再燃している。東証第1部への直接上場で、東証株価指数(TOPIX)組み入れに伴うTOPIX連動型ファンドなどの買い需要発生の好需給期待も買い手掛かりになっている。

■IPOと同時に株主優待制度を新設し初決算の今期1Q業績も順調推移

 同社は、名古屋式モーニングサービスで知られるフル・サービスの「コメダ珈琲店」のチェーン店を今年5月末現在で693店展開、コーヒー・チェーン業界第3位の好ポジションにある。2020年度までに国内1000店舗を目指す積極的な店舗展開や、今年4月の初の海外店舗である中国・上海店の開店などの海外進出、さらにプリペイドカード「KOMECA」などに対応した電子決済システムや「コメダWi-Fi」の導入店舗の拡大などのサービスの充実、さらにコーヒー豆や小麦粉の調達価格引き下げの原価低減への取り組みなどから業績も増収増益が続いている。今2月期業績は、売り上げ237億6700万円(前期比9.4%増)、営業利益68億7000万円(同4.7%増)、税引前利益66億5000万円(同5.0%増)、純利益44億6700万円(同8.3%増)と予想、配当も年間50円(うち中間配当25円)を予想している。

 IPO後の初決算として今年7月13日に発表した今3月期第1四半期(3~5月期、1Q)業績も、14店舗を新規出店(閉店4店舗)したことなどから増収増益を達成、今期第2四半期(3~8月期)累計予想業績に対する利益進捗率は、50%と順調に推移した。なお同社は、株主への利益還元についても配当のほか、IPOと同時に株主優待制度の新設を発表するなど積極的である。優待制度では、同社株式を100株以上保有する株主へ2つの選択肢を用意、「KOMECA」を年間2400円か自社製品詰め合わせかのいずれかを贈呈する。

■中間配当・優待制度の権利取りから「小さく生んで大きく育てる」値幅効果も期待

 株価は、IPOに際して資金吸収額が600億円超と大規模なことが響いて、公開価格1960円を下回る1876円で初値をつけ、いったん上場来高値2002円まで買い直されたものの、再び下値を探る展開が続いた。PERは18倍台と直近IPO株のなかでも相対的に割安で、優待制度込みの総合利回りは4.01%と市場平均をう回っており、IPOの投資セオリーの「小さく産んで大きく育てる」通りに、まず今年8月末の中間配当と株主優待制度の権利取りで安値を仕込み、公開価格奪回から上値を追う値幅取り妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

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