【編集長の視点】ランサーズは上場来高値を射程圏、借入金返済を手掛かりに直近IPO株買いが増勢

ランサーズ<4484>(東マ)は、前日23日に21円高の1081円と3日続伸して引け、取引時間中には1095円まで買い進まれ今年1月6日につけた上場来高値1123円を射程圏に捉えた。同社株は、昨年12月16日に新規株式公開(IPO)され、この時の調達した資金を充当して借入金の返済を今年1月15日に発表しており、歓迎して直近IPO株買いが増勢となった。今年2月14日にはIPO後の初決算として今2020年3月期第3四半期(2019年4月~12月期、3Q)業績の発表を予定しており、業績期待も高めている。

■大規模プロモーション負担は続くが業績ステージは利益創出フェーズ

 同社の今2020年3月期業績は、売り上げ34億4100万円(前期比36.5%増)、営業損失5億1000万円(前期は2億200万円の損失)、経常損失5億4900万円(同7300万円の損失)、純損失5億6500万円(同1700万円の損失)と予想されている。働き方の多様化が進み、政府・企業・個人の副業へのスタンスが変わり副業推進が、成長戦略の柱の一つとなる好事業環境下、売り上げは、同社のフリーランス向けのマッチングサービスであるオンラインスタッフィングプラットフォーム「Lancers」のクライアント数が、前2019年3月期に2015年3月期対比で約1.6倍、クライアント単価も同約1.7倍となり、流通総額が年率29%増、売り上げが同45%増と高成長しており、今2020年3月期も高成長を維持する。

 利益については、同社のブランドイメージの確立、サービスの認知度向上、顧客基盤の拡大を目的に大規模プロモーションを展開する広告宣伝費や、営業・開発人員の積極的な採用による人件費の増加負担で赤字継続となる。ただIPO時の調達資金は、この費用負担に充当するとともに、今年2月28日には借入金10億3700万円を返済する原資とする。同社の業績ステージは、今期第1四半期(2019年4月~6月期)の売上総利益が、大規模プロモーションがなければ黒字転換し、第2四半期(2019年7月~9月期)は実際に黒字転換するなど、先行投資フェーズから利益創出フェーズに移行しており、今期3Q業績や続く来2021年3月期業績への期待を高めている。

■2番底から急騰再現期待を高め上場来高値抜けから上値トライ

 株価は、730円を公開価格にIPOされ842円で初値をつけて960円まで買い進まれ、この反動で上場来安値727円へ調整し、公開価格割れは売られ過ぎとしてストップ高を交えて上場来高値1123円まで買い直され、その後の2番底の再調整安値884円からは、フリーランスのスキル向上を図るアドビシステムズ(東京都品川区)との連携見直しや借入金返済を手掛かりに出直り相場を鮮明化した。直近IPO株買い再燃の急騰再現期待を高め、上場来高値抜けから上値トライが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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