【編集長の視点】イワキポンプは通期業績の下方修正・減配を円安・ドル高進行でカバーして下げ過ぎ訂正の反発

 イワキポンプ<イワキ、6237>(東2)は、9円高の1870円と反発して始まっている。同社株は、今年11月9日に今3月期4~9月期(第2四半期、2Q)累計決算を開示し、その2Q業績の上方修正とともに、逆に3月通期業績の小幅下方修正、年間配当の減配を発表したが、通期業績の下方修正要因となった円高・ドル安が、米国大統領選挙をキッカケとして円安・ドル高に転換したことでカバー、通期業績の上ぶれ期待も高めて下げ過ぎ訂正買いが再燃している。下方修正された3月通期業績も、なお市場コンセンサスを上回っていることも、買い手掛かりとなっている。

■為替レートを1ドル=98円へ見直し業績下方修正も米大統領選挙後は1ドル=106円台後半

 同社の今3月期業績は、2Q累計業績は期初予想より上方修正され、3月通期業績は下方修正される好悪入り混じる業績修正となった。2Q累計業績は、経費の見直し、過去に取得した外貨建て債券償還などの為替差益の発生などから上方修正され、このうち純利益は、期初予想より1億7000万円引き上げられ7億7900万円となり、市場コンセンサスを約1億7000万円上回った。市場別では、化学市場向けが軟調に推移し、新エネルギー市場向けは不調であったが、医療機器市場が好調に推移し、水処理市場、半導体・液晶市場、表面処理装置市場などが堅調に推移してカバーした。

 一方、3月通期業績は、第3四半期(3Q)以降の想定為替レートを期初の1ドル=120円から98円へ、1ユーロ=130円から108円へ円高方向で見直したことから、売り上げを6億3500万円、営業利益を1億2800万円、経常利益を8500万円、純利益を6100万円それぞれ小幅に引き下げ、純利益は15億2700万円(前期比横ばい)とした。ただ、この純利益は、なお市場コンセンサスを約3000万円上回っており、また米大統領選挙後の為替相場が、足元では1ドル=106円台後半まで急速な円安・ドル高と様変わりとなってことから、上ぶれ余地もあるとして前向きな評価も台頭している。

 さらに今期の年間配当についても、通期業績の下方修正に伴って配当性向30%を目安とする配当政策に従って期初予想の63.9円から62円(前期は上場記念配当11円を含めて78.8円)に減配したが、3Q以降の為替相場の動向次第では、業績が上ぶれ、つれて配当政策の再修正の期待も高まってくる。

■25日線水準の値固めが煮詰まりPER9倍台、PBR0.8倍の割安修正に再発進

 株価は、2000円を公開価格に今年3月にIPOされ、初値を2050円でつけ、3月末の高配当利回り買いで上場来高値2624円まで買い上げられ、配当権利落ち後は、全般相場の波乱が重って上場来安値1500円へ調整、同安値からは今期1Qの好決算、中間配当権利取りで1960円の戻り高値をつけ25日移動平均線水準での値固めを続け煮詰まり感を強めている。PERは、今期通期業績下方修正ベースでも9倍台、配当利回りも、減配ベースでも3.31%、またPBRは0.8倍と下げ過ぎを示唆しており、まず公開価格を奪回したあと上場来高値を目指し再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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