【編集長の視点】サイオスは今12月期業績の黒字転換でフィンテック関連株人気が増幅

編集長の視点

 サイオステクノロジー<3744>(東2)は、今年2月2日に発表した同社の今12月期業績は、2期ぶりの黒字転換を予想しており、これに加えて積極的なM&Aにより新領域として開拓している金融とITを融合させるフィンテック関連株としての評価が相乗している。M&Aや新サービス展開のたびにストップ高を演じた同社株の急騰特性の再現期待も高めている。

■M&Aの子会社2社でフィンテック関連のR&Dを加速し収益事業の新しい柱に

 同社の今12月期業績は、売り上げ105億円(前期比12.1%増)、営業利益1億4000万円(前期は1億1100万円の赤字)、経常利益1億円(同1億2700万円の赤字)、純利益5000万円(同1億7900万円の赤字)と黒字転換を予想している。前期業績は、主力ソフトウェア「LifeKeeper」の順調な推移や、昨年4月に約4億円で買収し子会社化したキーポート・ソリューション(KPS)の即戦力化などで売り上げが前々期比27.1%増の5期連続の増収と高成長したが、利益については研究開発投資を積極継続し研究開発費が、同29.1%増の6億4800万円となるなど販売管理費が同23.1%増と負担したことなどが利益を圧迫した。

 今期業績は、研究開発費をさらに前期比35.8%増の8億8000万円と積極継続を計画している。前期に続くこの積極策の成果として昨年7月に発売したIT運用分析ソフトウェア「SIOS iQ」が早くもトレンドマイクロ、4704>(東1)に採用され、また昨年9月に9億3200万円で買収・子会社化し吸収合併したARSホールディングス(ARSHD)などが寄与してカバーし黒字転換を見込んでいる。とくに前期実施のM&Aは、KPSが、金融業界を中心としたアプリケーションソフトの開発を主力事業とし、ARSHDが、金融機関向けに資産・負債のリスク管理を行うALMシステムで国内有数のベンダーの位置にあり、両社を融合させてフィンテック領域のR&D(研究・開発)を加速させ新しい収益の柱となるサービスの早期実現を図る。

■上昇転換の25日線を下値支持ラインに株式分割権利落ち後高値を目指す

 株価は、昨年4月のKPS買収でストップ高し、今年1月にも「SIOS iQ」のトレンドマイクロ採用でもストップ高するなど急騰を繰り返し、足元は、上昇転換した25日移動平均線で下値をサポートされつつ上値を試す動きを続けている。ストップ高でつけた今年1月高値644円抜けから昨年1月高値669円を奪回し、2014年1月の株式分割権利落ち後高値888円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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