【編集長の視点】シンシアは小反落も1Qの初決算発表を前に業績期待を高め直近IPO株買いが再燃気配

 シンシア<7782>(東マ)は、前日11日に1円安の765円と変わらずも含めて6営業日ぶりに小反落して引けた。今年4月6日につけた株式分割権利落ち後の安値660円から100円超幅の底上げをした株価水準にあるだけに、目先の利益を確定する売り物に押された。ただ同社株は、来週週明けの15日に今12月期1~3月期(第1四半期、1Q)業績の発表を予定しており、四半期決算発表は、昨年12月16日の新規株式公開(IPO)以来初となるが、経済産業省からの補助金金額の確定、カラーコンタクトレンズの新商品の発売、さらに為替レートが想定レートより円高・ドル安で推移したことから、下値には業績期待を高めた直近IPO株買いが交錯した。

■アジア市場開拓の補助金交付に想定上回る円高進行が加わり高利益進捗率期待

 経産省の補助金は、日本の生活文化の特色を活かした魅力的な商品・サービスの海外販路を開拓する事業者が、新興国などにおいて販路開拓に至るまでの一貫した取組を行うための必要な経費の一部を補助する28年度の「新興国市場開拓等事業費補助金(テストマーケティング等支援事業)」の補助事業者に同社が選定されたことで交付されるもので、この補助金金額が、1006万7000円で確定した。対象地域は香港、対象商品は、カラーコンタクトレンズ、アイメイク商品で、まだ市場が未成熟な香港で日本でブレークしたカラーコンタクトレンズのブームを創出するとともに、大手ドラッグストアなどでのメジャーチェ-ンでの売り場確保などを支援する。同社は、「日本発」ブランドとしてすでに台湾、マレーシア、タイなどにカラーコンタクトレンズの展開をしているが、今回の補助金交付でアジア展開が加速され業績寄与度も高まってくる。

 一方、同社の今12月期業績は、売り上げ52億9100万円(前期比7.5%増)、営業利益2億8000万円(同51.5%減)、経常利益2億7000万円(同1.4%増)、純利益1億8600万円(同10.2%増)と増減マチマチで予想されている。カラーコンタクトレンズ市場の拡大に向けドラッグストア向けの売り上げ続伸、インターネット通販店利用顧客の増加などで売り上げは順調に推移するが、利益については、商品輸入に係る為替取引の年間平均為替レートを1ドル=115円と想定し、この円安水準では仕入れ原価が高騰し利益を圧迫するとして慎重な業績予想となっている。現在の為替レートは、1ドル=113円台と想定より円高・ドル安で推移しており、経産省の補助金交付や今年5月のカラーコンタクトレンズの新商品「EYEDDiCT by FAIRY」シリーズ発売も加わり、15日発表予定の今期1Q業績が、12月通期業績に対してどの程度の進捗率を示すか注目されている。

■分割落ち後安値から下げ過ぎ訂正で25日線を一気に上抜き権利落ち後高値を目指す

 株価は、昨年12月に2100円を公開価格にIPOされ、初値は公開価格を下回る1950円でつけたものの、直後に2日連続でストップ高し、上場来高値4910円まで買い進まれる高人気となった。最高値後は、3000円台を試す下値調整となり、今年3月15日を基準日とする株式分割(1株を3株に分割)の発表を好感して3470円までリバウンドして、分割権利を2920円で落とした。分割権利を落としたあとは、地政学リスクを懸念した全般相場の波乱が波及して理論価格を下回る660円安値まで突っ込み、経産省の補助金額確定、新商品発売などが続き、下げ過ぎとしてそれまで上値を抑えていた25日移動平均線を一気に上抜いた。直近IPO株人気を高め今年3月につけた分割権利落ち後高値979円にキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. 【ダブルセット・フルセット銘柄、夏休み明けも底堅さに期待】 ■上方修正・増配・株式分割の好材料銘柄…
  2. ■上方修正・下方修正問わず買い集まる異例の展開  3連休入りした9日の成田空港では、夏休みを海外で…
  3. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  4. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  5. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  6. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る