【業績で見る株価】久世は反発し底堅い、大口取引終了の「穴」完全に埋め今期は海外展開にも注力

■シンガポールの高級ホテル向け輸出が始まるなどでアジアに拠点も検討

 業務用食材の久世<2708>(JQS)は26日の前場、940円(8円高)まで上げて反発した。5月12日に前期・2017年3月期の決算を発表し、その翌取引日に一時935円の直近安値をつけたが、その後はこの値を下回ることなく値固めの相場となっている。上値の重い相場ではあるが、大口取引先だった居酒屋チェーン大手との取引終了にともなう「穴」を見事に埋めた決算として、「もう少し評価されてもいいのではないか」(調査筋)との声が出ている。

 17年3月期の連結業績は、大手居酒屋チェーンとの取引終了にともなう影響が残り、売上高は前期比8.4%減少して615.7億円となった。しかし、利益面では、既存取引先との取引拡大、新規取引先の拡大、物流費や販売費などの節約などにつとめた効果、営業利益は同29.5%増加して5.7億円になり、純利益は同0.3%増加して4.9億円となった。純利益は2期続けて過去最高を更新した。主力の食品卸事業を販売チャネル別に見ると「ファーストフード、ファミリーレストラン、カフェ」が17年3月期から40%台に乗り最大シェアを占めた。中国での販売が20%前後の伸びを続けたほか、17年3月期はシンガポールの高級ホテル向けの輸出が始まった。

 今期・18年3月期は、海外での伸び拡大をとらえ、これまでの4本部体制(営業・物流・商品・サポート)にマーケティング、海外、を加えて6本部制とし、アジア市場を強化する。「シンガポールかタイに拠点を置くことも検討している」(久世社長)という。国内事業でも、競争力ある商品開発やメニュー開発を強化する方針とした。

 18年3月期の連結業績見通しは、売上高を3.1%増の635億円とし、営業利益は5.5%増の6億円、純利益は0.5%増の4.9億円、予想1株利益は129円14銭。調査筋の中には、保守的ではないかとの受け止め方もある。また、この予想1株利益に基づく株価PERは7倍台に過ぎないため割安感は強いといえる。(HC)

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