【アナリスト水田雅展の銘柄診断】神鋼商事は強基調に変化なく9月高値目指す

銘柄分析

 鉄鋼・非鉄金属関連商社の神鋼商事<8075>(東1)の株価は、10月17日の直近安値243円からほぼ一本調子に11月5日の284円まで戻した。その後は上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。強基調に変化はなく、今期(15年3月期)業績上ブレの可能性や指標面の割安感を評価して9月高値285円を目指す展開だろう。

 鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う商社である。13年6月発表の中期経営計画(14年3月期~16年3月期)では、神戸製鋼所<5406>グループの中核となるグローバル商社を目指し、数値目標として16年3月期売上高1兆円、経常利益90億円、海外取引比率40%以上を掲げている。14年7月には筒中金属産業が新設分割で設立した国内卸売事業会社の株式70%を取得して子会社化した。非鉄金属部門の収益力を強化する方針だ。

 14年9月にはメキシコにおける線材二次加工拠点となる合弁会社(出資比率は当社40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、大阪精工10%、メキシコGrupo Simec10%、米O&k American5%)設立を発表した。15年末稼働予定である。メキシコは世界の自動車・自動車部品メーカーの相次ぐ進出で自動車関連産業の成長が期待されており、自動車用ファスナーや冷間鍛造部品などの素材となる冷間圧造用鋼線を製造し、現地の自動車部品メーカー向けに販売する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(4月28日公表)を据え置いて売上高が前期比11.8%増の9400億円、営業利益が同22.0%増の70億円、経常利益が同20.3%増の64億円、純利益が同26.6%増の40億円、配当予想が前期と同額の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 世界的に自動車生産が高水準であり、エレクトロニクス産業の生産回復、国内の建設需要拡大も追い風となり、鉄鋼セグメントや非鉄金属セグメントを中心として好調に推移する。前期は大型案件一巡の影響を受けた機械・情報セグメントも、製鉄関連資機材および建設機械用輸入部材、太陽電池関連資材、液晶用電子材料などが増加する見通しだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比3.5%増収、同22.1%営業増益、同35.3%経常増益、同97.3%最終増益と好調に推移した。輸入鉄鋼原料の価格が下落したが、海外向け鋼板・線材製品の価格上昇、非鉄金属セグメントの取扱量増加、機械・情報セグメントの損益改善、溶接材料の取扱量増加などが寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が45.4%、営業利益が43.5%、経常利益が46.8%、純利益が49.6%と概ね順調な水準だった。設備投資関連は下期の構成比が高いことを考慮すれば通期上ブレの可能性があるだろう。ドル高・円安進行も寄与する。グローバルビジネス展開の強化で中期的にも収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、10月17日の直近安値243円からほぼ一本調子に11月5日の284円まで戻した。その後は上げ一服の形だが、大きく下押す動きは見られない。自律調整の範囲だろう。

 12月1日の終値267円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円17銭で算出)は6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS399円53銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると、26週移動平均線近辺から反発してサポートラインを確認した形であり、強基調に変化はないだろう。今期業績上ブレの可能性や指標面の割安感を評価して9月高値285円を目指す展開だろう。

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