【編集長の視点】澤田HDは今期1QのV字回復業績を再評価して割り負け訂正買いが膨らみ続伸

 澤田ホールディングス<8699>(JQS)は、前日22日に1円高の994円と続伸して引け、今年3月16日につけた年初来高値1064円を再び視界に捉えた。日経平均株価が、北朝鮮を巡る地政学リスクや米トランプ政権の混乱を懸念して今年初めて5営業日続落し、3カ月半ぶりの安値まで売られた悪相場環境下、同社が、今年7月27日に発表した今2018年3月期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)のV字回復業績を見直して割り負け訂正買いが増勢となった。2015年12月に子会社化したiXITが、ハウステンボスのVR(仮想現実)を用いた体感型アトラクションなどの新規事業を積極的に展開していることも、側面支援材料視され逆行高期待を高めている。

■ハーン銀行の営業利益が5倍超と伸びエイチ・エス証券も増収増益

 同社の今期1Q業績は、営業収益が123億8200万円(前年同期比1.1%減)、営業利益が15億6000万円(同3.75倍)、経常利益が15億4000万円(同3.50倍)、純利益が10億3500万円(同17.4%減)と増減マチマチで着地した。営業収益は、債権管理回収関連事業で前年同期にあった大型案件の反動などで小幅続落となったが、営業利益は、銀行関連事業の営業利益が、モンゴル最大のリテール銀行のハーン銀行の資金運用収益が増加して為替ヘッジを目的にしたスワップ取引の評価損益が大幅に改善して前年同期比5.78倍の11億9700万円と伸び、証券関連事業でもエイチ・エス証券のトレーディング損益の増加も寄与して増収増益となったことなどが要因となった。純利益は、前年同期に計上した関係会社株式売却益12億800万円が一巡して連続減益となった。なお同社は、主力事業の証券業が、市場環境の影響を大きく受けることから今3月期第2四半期・通期業績の業績予想を開示していない。

 一方、IT関連の子会社iXITは、ハウステンボスの体感型VRアトラクションなどの新規事業の開始や新規顧客の開拓のほか、固定費削減効果も加わり、今期1Q業績は大幅に改善しており、今後も、今年3月3日に澤田HDが初導入を発表した株主優待制度の株主優待ポイントシステムの事業化などを積極推進する。

■25日線水準の三角保ち合いが煮詰まりPBR0.8倍の修正で昨年2月高値を目指す

 株価は、株主優待制度の初導入を歓迎して年初来高値1064円をつけ、日経平均株価の2万円台割れとともに928円安値まで調整し、今期1Qの好決算で25日移動平均線水準の1000円大台を回復、三角保ち合いを続けてきた。業績予想非開示でPER評価はできないが、三角保ち合いは煮詰まり感を強め、PBRは0.82倍と割り負けており、年初来高値抜けから上値目標として昨年2月高値1229円が浮上しよう。
(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る