【編集長の視点】シードは連日の2部上場後高値、新工場稼働開始を先取りし中期計画を買い直す

編集長の視点

シード<7743>(東2)は、17円高の1622円と5営業日続伸して始まり連日、昨年3月12日の東証第2部上場以来の高値を更新している。今年4月に鴻巣研究所の新棟(2号棟)が、稼働を開始することを先取りして現在推進中の業界シェアをアップさせる積極的な中期経営計画を買い直す動きが続いている。昨年8月の今3月期業績の下方修正も、今年2月10日に予定している今3月期第3四半期(3Q)決算の発表で織り込み済みとなるとの期待も強めている。

■約46億円を投資した月産500万枚能力の2号棟稼働で市場シェアもアップ

鴻巣研究所第2号棟は、約46億円を投資して昨年8月に竣工し、第1次としてコンタクトレンズの月間生産規模500万枚の設備を導入して今年4月に稼働を開始する予定で、総生産規模は、月産2500万枚規模に拡大する。同社は、中期経営計画で2013年の市場シェアを、10.1%の1日使い捨てタイプを2015年に14~15%に向上させるとともに、コンタクトレンズ全市場でも同じく7.3%から10%に高めることを推進しており、新棟はこの中核生産拠点となる。また同社は、同計画でグローバル展開の強化も進めており、コンタクトレンズ市場が約300億円となっている台湾での営業活動を昨年12月から開始している。中期経営計画では、最終年度の2016年3月期の売り上げを235億円、営業利益を20億円、純利益を9億円とする目標を設定しており、製販両面での積極策からこの実現が現実となれば、業績のV字回復も期待されることになる。

一方、今3月期業績は、昨年8月に消費税増税前の駆け込み需要の反動減や円安進行による粗利益の減少、研究開発などの戦略投資負担などを要因に期初予想を下方修正、純利益は、期初予想の5億円から4億2500万円(前期比6.8%減)に引き下げられ連続減益を見込んでいる。2月10日予定の3Q決算発表で、その後の相次ぐ新製品の発売や海外展開などでこの通期見通しがどう変わるか、株価的には織り込み済みとなるか、さらには中期経営計画をさらにポジティブに再評価することにつながるかなど注目される。

■中期経営計画の現実買いで昨年1月高値を目指す上値チャレンジに弾み

株価は、昨年3月の東証第2部への市場変更に際して実施した自己株式処分(処分価格1669円)・株式売出しがボディーブローとなって1015円まで調整し、今期業績の続伸予想で1520円高値まで底上げし、その後は、今期業績の下方修正で1126円まで再調整したあと、東証2部上場来高値水準となる1500円台を固める動きを続けてきた。中期経営計画の現実買いで昨年1月高値2245円を目指す上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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