【どう見るこの相場】高値警戒感や地政学リスク再燃で利益確定売りに注意

どう見るこの相場

 今週9月25日~29日の株式市場は、前週までの急ピッチの上昇に対する高値警戒感で利益確定売りが優勢になる可能性がありそうだ。また前週末の国連総会における各国首脳の演説を機に地政学リスクが再燃する可能性にも注意が必要だろう。

■高値警戒感や地政学リスク再燃に注意

 前週(9月19日~22日)の日経平均株価は年初来高値更新の展開となり、週間ベースでは386円95銭(1.94%)上昇した。

 20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明およびイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見を控えて、前々週(9月11日~15日)からドルを買い戻す動きが強まった流れが継続し、さらに米FOMCで10月からのバランスシート縮小を決定したことや、12月の追加利上げの可能性が高まったことを受けて、為替は1ドル=112円台半ばまでドル高・円安水準に傾いた。これを株式市場は好感し、主力大型株を中心に買い戻された形だ。

 ただし9月8日の取引時間中の直近安値1万9239円52銭から、9月21日の取引時間中の年初来高値2万481円27銭まで、僅か8営業日で1241円75銭と大幅上昇したため、今週(9月25日~29日)は急ピッチの上昇に対する高値警戒感も意識され、利益確定売りが優勢になる可能性がありそうだ。また前週末の国連総会における各国首脳の演説を機に、北朝鮮が挑発姿勢を強めているため、地政学リスクの再燃にも注意が必要となる。さらに25日にトランプ米政権が発表する見込みの税制改正案も注目点だ。

 国内要因では、安倍首相が9月28日に衆院を解散し、10月22日投開票で衆院選に踏み切る見通しとなった。投開票日までは政策や政権安定に対する期待感で株価が上昇しやすいというアノマリーが意識されているが、今回は選挙の争点が見当たらず、逆に加計問題の説明不足や北朝鮮リスク下の政治空白に対する批判票などを考慮すれば、自民党が議席を増やす可能性は小さいだろう。メディアの世論調査の結果にも左右されるが、株価上昇というアノマリーが一転してネガティブ反応に変わる可能性にも注意しておきたい。

■為替にリスクオフの動きが無ければメガバンクや輸出関連

 物色面では為替次第となりそうだ。為替にリスクオフの動きが強まれば全体的に利益確定売りが優勢になるが、為替にリスクオフの動きが無ければメガバンクや輸出関連セクターを中心に、引き続き主力大型株を買い戻す動きが強まりそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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