【どう見るこの相場】G20終了と日経平均の行方

日経平均の行方

 G20財務省会議で、世界経済の下降リスクが共有認識され各国に対し景気対策が求められた。マーケットはプラスにもマイナスにも受け取ることのできる悩ましい判断を突きつけられている。今後、マーケットはどう動くのか。

■世界経済下降とテコ入れの綱引きの様相、日本には量的緩和やりやすく、実現すれば日経平均上昇へ

<Q>中国で開かれていたG20財務省会議が前週末に終り、週明けのマーケットは午前中は好感高だったが、後場は急速に萎んだ。

<A>G20の声明文は、強気にも弱気にも、どちらにでも取れる内容だった。強気に解釈すれば、G20加盟国各国が政府投資などあらゆる手段を動員して世界景気を浮揚させようということに対する期待がある。一方、慎重な見方をすれば、バブル経済から減速の真っ只中の中国、厳しい状況の続く欧州、量的緩和政策を終えたばかりのアメリカなど、各国とも景気対策を採りうる策は限定的とみられていることがある。

<Q>それでも、日経平均は29日(月)前場で一時276円高まで値を上げたことの意味は。

<A>G20国の中で、アベノミクスが進行中ということがある。1月末のマイナス金利政策に続いて金融の量的緩和が見込めそうだということだろう。

<Q>しかし、円安政策に対する批判があるのではないか。

<A>通貨切り下げ競争はしないということは盛り込まれているが、一方であらゆる手段で景気対策が求められているわけだから、日本がここで量的緩和策に踏み切ったとしても批判は出ないのではないか。今、世界で思い切って景気対策が打てるのは日本くらいしかないように思われる。

<Q>3月中の可能性はどうか。実施した場合の効果はどうか。

<A>10~12月の日本のGDPが年率でマイナス1.4%と7~9月のプラス1.3%からマイナスに反落し景気はかなり厳しい状況となっている。7月の参議院選挙、来年4月の消費税10%へ引き上げなどを考えると、一刻も早い景気テコ入れは必要だから3月中の可能性はあるように思われる。その場合は、当然、マーケットへ効果はあるだろう。

<Q>日経平均をどのていど引き上げ、賞味期限はどうか。

<A>アベノミクスの中で過去2回量的緩和が行われ、ざっくり捉えれば第1回、第2回ともほぼ1年の期間で日経平均は6000円程度上昇している。これを現在の水準に当てはめるとすれば来年春には日経平均は2万2000円ていどということになる。もちろん、前提としては円相場が現在の112円程度から125~130円へ円安が進むことが求められる。

■キーワードは、「マイナス金利」、「量的緩和」、「駆け込み需要」

<Q>第1回、第2回と、これから予想される第3回の違いはどこか。

<A>第1回、第2回とも景気と企業業績が勢いよく上向いていた。今回は景気及び企業業績に疲れがみられる点が大きい違いといえる。とくに、17年3月期は減益の可能性が強まっている。ただ、景気浮揚にプラスとして予想されることは、消費税10%の前の駆け込み需要が今年夏から秋に向けて盛り上がるとみられることだ。先般のマイナス金利が浸透してくれば住宅、マンション、自動車など大型消費財が大きく増える可能性はあるだろう。つまり、「マナス金利」、「消費税前駆け込み需要」、そして、「第3次量的緩和」という3つのキーワードから引き出される答えは秋口には景気は上向くだろうということだ。日経平均は波乱はあっても量的緩和を睨んだ下値切り上げの展開が続くのではないかと思われる。弱気にならず、高配当利回り銘柄の押し目買いがよいとおもわれる。

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