【アナリスト水田雅展の銘柄分析】電算システムは利益確定売りが一巡して切り返し、今期増収増益見通しを評価して12月高値を試す

銘柄分析

 情報サービス事業と収納代行サービス事業の電算システム<3630>(東1)の今期(15年12月期)連結業績は増収増益見通しです。株価は12月高値1765円から反落し、1月30日の決算発表後にも調整する場面がありましたが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めています。今期増収増益見通しを評価して12月高値を試す展開が想定されます。

 情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)と、収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済など)を展開し、クラウドサービスや電子マネーへの対応を強化しています。

 収納代行サービスは97年にIT企業として初めて、コンビニエンスストアを利用した料金支払(収納代行)サービスを開始しました。現在は総合決済サービスプロバイダーとして、全国7万以上のコンビニエンスストアおよび郵便局窓口でサービスを提供し、13年12月期の年間取扱件数は1億45百万件に達しています。

 中期成長に向けたM&A・アライアンス戦略も活発化し、13年10月にはNTTドコモ<9437>と業務提携して、米グーグルの企業向けクラウドビジネスに関する戦略的パートナーとして連携を強化しました。また14年9月にはガーデンネットワークを子会社化しました。ガーデンネットワークは全国約2000箇所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供し、当社と商圏が競合していないため、エネルギー業界向けITサービス提供拡大に向けてシナジー効果が期待されています。

 1月30日に発表した前期(14年12月期)連結業績は売上高が前々期比7.9%増の264億94百万円、営業利益が同13.6%増の11億54百万円、経常利益が同13.8%増の11億63百万円、純利益が同15.4%増の6億85百万円となりました。配当予想は年間22円(第2四半期末11円、期末11円)としました。13年7月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に同2円増配となります。

 セグメント別動向を見ると、情報サービス事業は売上高が同14.3%増の139億29百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同16.6%増の6億96百万円となりました。SI・ソフト開発ではオートオークション業向けシステム、広告出版業の販売管理システム、小売業向けギフトシステム、アパレル業向けPOSシステム、エネルギー卸売業向け業務システムなどの大型案件が牽引し、クラウド関連サービスも伸長したようです。情報処理サービスの郵便局関連および大手小売店向けのギフト処理サービス、請求書作成代行などのアウトソーシング業務も順調に推移しました。

 収納代行サービス事業は売上高が同1.6%増の125億64百万円、営業利益が同13.7%増の5億09百万円となりました。クレジットカード決済において売上とクレジット手数料を相殺する純額表示とした影響で小幅増収にとどまりましたが、新規顧客獲得や収納代行窓口サービスは順調に推移しているようです。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(1月30日公表)は、売上高が前期比13.2%増の300億円、営業利益が同4.0%増の12億円、経常利益が同4.0%増の12億10百万円、純利益が同8.7%増の7億45百万円で、配当予想は前期比1円増配の年間23円(第2四半期末11円、期末12円)としています。

 SI・ソフト開発については大口取引先のIT投資予算抑制で厳しい状況が予想されるとしていますが、情報処理サービスではBPO(情報処理アウトソーシング)業務の量的拡大、サービスのワンストップ化による質的充実、効率的な人員配置と作業の効率化などで規模の拡大に取り組む方針です。エネルギー業界向け情報処理サービスでは14年9月に子会社化したガーデンネットワークの通期連結も寄与します。収納代行サービス事業では、非対面取引市場向け決済サービスの拡大、国内送金サービスの拡大、国際送金サービスの拡大に取り組む方針です。

 中期経営計画では目標数値として、16年12月期売上高350億円(情報サービス事業194億円、収納代行サービス事業156億円)、営業利益18億20百万円、経常利益18億20百万円、純利益11億62百万円を掲げています。クラウドサービスを第3の柱に育成する方針であり、中期的に収益拡大基調が期待されます。

 株価の動きを見ると、12月高値1765円から1月16日の1454円まで調整し、その後1月30日の1560円まで戻しましたが、今期業績見通しを嫌気する形で再び1500円割れ水準まで調整しました。ただし2月20日には1544円まで戻して切り返しの動きを強めています。目先的な売りが一巡して今期増収増益見通しを再評価する動きでしょう。

 2月20日の終値1544円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS76円33銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS776円68銭で算出)は2.0倍近辺です。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破しました。週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破する動きを強めています。目先的な利益確定売りが一巡し、今期増収増益見通しを評価して12月高値を試す展開が想定されます。

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