【編集長の視点】アズ企画設計は続落も販売用不動産取得で独自ビジネスモデルを再評価し直近IPO株買いが再燃余地

 アズ企画設計<3490>(JQS)は、連休前の4月27日に25円安の3170円と5日続落して引けた。同社株は、今年3月29日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、初値倍利率が2.1倍と高人気化したあと、高人気の反動で上場来安値3110円まで調整し、地相場模索のなか売り買いが交錯した。しかし、27日の後場寄り付き前に発表された販売用不動産の取得・資金借入を手掛かり材料に、同社独自のビジネスモデルを再評価して上値にトライする動きも垣間見られ、直近割安IPO株買いが再燃する展開も示唆した。テクニカル的にも、上場来高値から42%超の調整をしており、大きく下げた株ほど大きく戻すとする投資アノマリーの「リターン・リバーサル」期待を高めている。

■築古不動産物件をバリューアップして早期商品化する独自ビジネスモデルのチャンス拡大

 同社が27日に取得を発表した販売用不動産は、東京都江東区に所在する鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根9階建の共同住宅・店舗・事務所で、取得金額は、相手先との取り決めにより非公表としたが、同社の2018年2月期期末の純資産額8億500万円の30%相当額とした。この取得とともに、足利銀行から8億3600万円の資金借入(借入期間10年)も実施した。

 同社は、中古不動産を取得してバリューアップして売却する不動産販売事業を主力事業としているが、建築後20年以上経過した築古物件を得意としており、収益不動産チームとプロパティマネジメントチ-ムの融合・連携により早期に商品化している。例えば東京都府中市で取得した1棟・18室のレジデンス(仕入価格2億5900万円)は、取得時の入居9室をリノベーション後の売却時には満室として3億6000万円で売却して30%もバリューアップ、保有期間をわずか約6カ月の短期間で早期商品化した。

 1961年から2000年までに建築された築古不動産は、約698戸も存在し、空室率も上昇するなど潜在需要は巨大で、同社がターゲット・エリアとしている東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県に大きなビジネス機会を提供している。このため同社の取得不動産物件は、期を追うごとに拡大しており、期末在庫は、2016年2月期末の6件、8億5500万円が、2017年2月期末に8件、15億1500万円、前2018年2月期末に13件、30億7000万円に伸び、早期収益化し業績成長に貢献している。4月27日に取得した物件は、前期末在庫の約30%に達するもので業績押し上げ効果が期待される。

 今2019年2月期業績は、売り上げ81億3800万円(前期比27.6%増)、営業利益4億3600万円(同8.9%増)、経常利益3億8200万円(同8.4%増)、純利益2億1900万円(同20.0%減)と予想されている。純利益は、前期に計上した特別利益8675万円が一巡して減益転換するが、売り上げ、営業利益、経常利益は連続して過去最高を更新するもので、販売用不動産の積極的な取得で上ぶれ期待も高まってくる。

■PER12倍台と売られ過ぎを示唆し「リターン・リバーサル」買いで底上げ加速

 株価は、2160円を公開価格にIPOされ、4705円で初値をつけ即、上場来高値5410円まで買い上げられる高人気となり、定石通りに下値を探り、上場来安値3110円まで調整、底もみを続けている。PERは12倍台、最高値からの下落率も42%超と売られ過ぎを示唆しており、全般相場の方向感がなお不確かななか、ディフェンシブ株人気を高め「リターン・リバーサル」買いで底上げ加速となろう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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