【編集長の視点】No.1は反落も3Q減益業績を織り込み情報セキュリティ関連株人気もオンして売られ過ぎ訂正に再発進

 No.1<3562>(JQS)は、前日22日に26円安の1778円と6営業日ぶりに反落して引けた。同社株は、世界同時株安に巻き込まれた上場来安値1707円へ突っ込み、約130円の底上げしており、なお全般の波乱相場が尾を引くなか、目先の利益を確保する戻り売りに押された。ただ下値には、今年1月12日に開示した今2018年2月期第3四半期(2017年3月~11月期、3Q)の減益転換業績は、織り込み済みとして売られ過ぎ訂正買いが続いた。また、今年1月16日には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO27001」の認証取得を発表しており、今年1月に発生した仮想通貨事業者のコインチェック(東京都渋谷区)の不正流出事件の事後処理がまだ長引き不透明化していることも、同社株の情報セキュリティ関連株人気を増幅するとともに、来2019年2月期業績への期待を高めフォローの材料視されている。

■「ISMS」認証取得で高いレベルでの顧客機密情報の管理体制を強化

 同社の今期3Q累計業績は、売り上げが55億9400万円(前年同期比5.9%増)と伸び、営業利益が1億1500万円(同41.1%減)、経常利益が1億500万円(同43.3%減)、純利益が6500万(同43.2%減)で着地した。オフィスコンサルタント事業では、主力のOA関連商品、情報セキュリティ商品、防犯セキュリティ商品が堅調に推移したが、Web販売のサイト販売が、競争激化で伸び悩んでおり、テクニカルコンセルジュの人員を増強したほか、働き方改革の実現に向け勤務時間管理の徹底や有給の積極的な取得などを推進して従業員のモチベーション向上に取り組んだことなどが要因となった。
 今2月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ74億3700万円(前期比5.4%増)、営業利益3億3000万円(同8.8%増)、経常利益3億1100万円(同7.2%増)、純利益2億300万円(同6.7%増)と予想、純利益は、連続して過去最高を更新する。昨年5月に全面施行された「改正個人情報保護法」に対応して昨年9月に発売した自社企画商品のサーバー「NWS-2T500SS」、同11月発売のUTM機器などが、ランサムウェア攻撃といった高度化したサイバー攻撃への対策需要拡大につながることなどが寄与する。

 なお、「ISO27001」の認証取得は、情報漏えいや不正アクセスなど情報セキュリティに対する脅威が世界的に拡大していることから、よりいっそう高いレベルでの対応を対外的に示し、顧客の機密情報の管理体制を強化して安心サービスを提供することを可能とする。来2019年2月期業績へのフル寄与が見込まれる。同社は、来2019年2月期の純利益目標を2億3200万円とする中期経営計画を推進しており、今2月期通期決算発表予定の今年4月12日に向け期待を高めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

■PERは12倍台、25日線からは9%超下方かい離し「リターン・リバーサル」妙味

 株価は、昨秋の改正個人情報保護法対応の新情報セキュリティ機器発売に加えて、今期第2四半期の好決算、投資評価会社の「強気」の投資判断・目標株価付与などの好材料が表面化して2800円の戻り高値をつけ、年明け後は25日移動平均線水準で中段固めを続け、今期3Q減益業績で下ぶれ、世界同時株安の直撃で二段下げ、上場来安値1707円に突っ込んだ。同安値からは、低PER評価や25日線への大幅マイナスかい離から売られ過ぎとして約130円の底上げに転じ一服した。なおPERは12倍台、25日線からも9%の超下方かい離と下げ過ぎで、信用需給でも特別空売り料がつく陰の極を示唆しており、大きく下げた株ほど大きく戻るとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」通りに一段の戻りを試し、まず25日線水準の1900円台奪回に動こう。

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