【材料で見る株価】サインポストはレジ無人化を図る「スーパーワンダーレジ」脚光を集め大幅増益の業績も注目

■2月に業績見通しを一段と増額し全体相場の調整進めば高値更新も視野に

 サインポスト<3996>(東マ)は前週末取引日の9日、再び上値を追って大きく出直り、取引時間中に13%高の4380円(495円高)まで上げ、終値も3月1日以来の4000円台回復となった。スーパーなどのレジの無人化を図る「スーパーワンダーレジ」を手がけ、直接の手がかり材料としては、「国内大手ドラッグストアが2025年までにすべての店舗で無人レジを導入する」(日本経済新聞3月9日付朝刊より)と伝えられたことが挙げられている。業績が好調なため(今2月期の連結売上高は前期比58%増の見込み)、買い出動する直前で迷っていた投資家の背中をポンと押すような形になった。 3月6~9日にかけて、東京ビッグサイトで実演展示した。

■「スーパーワンダーレジ」、レジ待ち時間の短縮に加え深刻化する人手不足など解決

 同社は、金融機関や公共機関向けを中心とするシステム開発コンサルティングやソリューションサービス事業を中軸に、研究開発を中心するイノベーション事業では、スーパーなどのレジの無人化を目指し、AI(人工知能)や画像認識技術を活用した「完全スルー型レジシステム(スーパーワンダーレジ)」の製品化などに取り組んでいる。

 ワンダーレジはイノベーション事業の一環で企画が進められている人工知能を搭載したレジスターだ。現在主流のPOSレジは、販売時点でのスピーディーな商品管理をウリとして、広く普及しているが、1台ごとにレジ業務を行う人員が必要な上、商品のバーコードを個々に読み取る必要があるのは皆さんも買い物で検証済みだ。清算まで意外に時間がかかるほか、機器のサイズが大きいため、レジのスペースが限られる店舗では台数を増やせない、といった問題が、人手不足の中で次第に深刻化している。

 この点で、ワンダーレジは、既存のPOSレジとのハイブリッド化によって店舗の人手不足に対応できる上、AIが複数商品を一括認識し、スピード会計を実現する。また、設置台数の増加が可能なため、レジ待ち行列の解消に貢献する。

 報道によると、「人手不足を背景に、ドラッグストア各店舗では在庫の管理や会計を担当するパートや従業員らが足りず薬剤師が調剤や相談などの業務以外に時間をとられている状況がある。一方で高齢化などに伴う需要拡大で、全国の店舗数は今の1・9万店から25年には3万店にまで膨らむ見通しだ」(同)という。

 こうした状況が差し迫ってくる中で、「スーパーワンダーレジ」は、2017年11月下旬、JR東日本(東日本旅客鉄道)<9020>(東1)のオープンイノベーション型ビジネス創造活動「JR東日本スタートアッププログラム」に採用され、JR大宮駅(埼玉県)で一般消費者も体験できる実証実験を行った。独自開発のAI(人工知能)「SPAI」が商品を特定し、決済ゲート到着前に精算を完了させることでレジ待ちを解消することができた。
 
■4月中旬に発表予定の2月決算は売上高が前期比75%増、純利益は同2.4倍に増額

 業績は絶好調で、2月13日に2018年2月期の業績見通しを全体に大きく増額修正して発表し、売上高は従来予想を11%増額して30億2000万円の見込み(前期比では75.3%の増加)とし、営業利益は同じく20%増額して3億9100万円の見込み(同2.3倍)、純利益は同24%増額して2億5000万円の見込み(同2.4倍)とした。増額後の1株利益は108円30銭。決算発表は4月中旬としている。

 同社は17年11月に株式を上場し、上場来の高値は17年12月の4987.5円(18年2月末に株式4分割を実施後の値段)。18年に入ってからは、2月初旬の3442円(同)を基点として再び下値をセリ上げる展開になっている。上場来の高値をつけた頃よりも業績見通しが大きく上ぶれており、米国発の世界株安による全体相場の調整が一巡するにつれ、高値を更新する展開になっても不自然ではないといえる。

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