【編集長の視点】冨士ダイスは通期純利益の連続過去最高を手掛かりに連続増配の配当権利取りが再燃し反発

冨士ダイス<6167>(東1)は、前日26日に9円高の728円と続伸して引けた。同社の今2019年3月期純利益が、連続して過去最高更新と予想されていることを見直し、連続増配を予定している今期配当の権利取りが増勢となった。また、今年2月13日に開示した今3月期第3四半期(2018年4月~12月期、3Q)決算が、減益転換したが、3月通期予想業績に対して高利益進捗率となったことから、前期と同様に上ぶれ着地期待を高めて買い手掛かりとなっている。

■3Q業績は減益転換も高利益進捗率から前期業績と同様の上ぶれ着地期待

 同社の今3月期配当は、株主への利益配分策として安定配当を継続し配当性向50%をメドにする基本方針に沿って24円(前期実績23円)を予定し、東証第1部への市場変更の記念配当1円を上乗せして年間22円とした2017年3月期以来、3期連続増配となる。前日終値現在の配当利回りは、3.29%と東証第1部全銘柄平均の1・95%を大きく上回り、インカムゲイン妙味を示唆している。

 一方、今3月期業績は、売り上げ183億円(前期比1.7%増)、営業利益13億円(同11.3%減)、経常利益14億3000万円(同2.9%減)、純利益9億6000万円(同2.9%増)と増収減益転換が見込まれている。超硬製工具類では海外向けの混錬工具や粉砕工具、国内向けの超高圧発生用工具や冷間圧延ロールなどが堅調に推移し、超硬製金型類も、自動車部品生産用金型や半導体用金型の販売が伸び、売り上げは続伸したが、利益は、タングステンやコバルトなどの原材料価格が高騰したことが減益要因となった。純利益は、前期に計上したインドネシアの連結子会社の減損損失が一巡し、前期に続く過去最高更新となる。

 今年2月13日に発表した今期3Q業績も、前年同期比3.9%増収、11.5%営業減益、6.7%経常減益、7.5%純益増益と増収減益となったが、3月通期予想業績に対する利益進捗率は、78~86%と目安の75%を上回った。前2018年3月期業績も、3Qの高利益進捗率業績をベースに昨年5月7日に業績を上方修正、配当も増配しており、再現期待を高めている。東洋経済会社四季報の最新号は、今期純利益を10億1000万円と観測している。

■公開価格目前の大底から4割高し最高値からの調整幅の半値戻し奪回に弾み

 株価は、昨年2月開示の前期3Qの好決算を歓迎して上場来高値1259円まで買い進まれ、その後の今期業績の減益予想や再三再四にわたる世界同時株安の波及で下値を探り、昨年12月に東証第1部に市場変更後安値537円まで調整した。同安値は、2015年6月の新規株式公開時の公開価格530円目前で下げ過ぎとして急速に底上げし743円の戻り高値まで約4割高し、700円台固めを続けている。PERは15倍台、PBRは0.7倍と割り負けており、高配当利回り買いも加わり、まず最高値からの調整幅の半値戻しの898円奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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