PALTEKは収益改善に向けたソリューション事業の進展期待

日インタビュ新聞ロゴ

 PALTEK<7587>(東2)は半導体輸入商社で、高収益のソリューション事業の拡大を推進している。19年12月期減収減益予想だが、20年12月期収益改善に向けてソリューション事業の進展に期待したい。株価は安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■半導体事業を主力にソリューション事業なども展開

 ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力とする半導体輸入商社である。

 FPGA、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM)するデザインサービス事業、および新規事業としてのソリューション事業(ビデオソリューション、IoTソリューション、物流ソリューション、エネルギーソリューションなど)を展開している。

 主要仕入先は、FPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがMPS社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力としてFA機器、通信機器、放送機器、医療機器、車載機器向けなどに展開し、センサ分野ソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、ソニー<6758>、オリンパス<7733>などである。

■FPGAビジネスの取引形態変更を機に高収益性ビジネス拡大を加速

 18年1月からFPGAビジネスの取引形態を変更した。一部の主要大手顧客への販売活動のうち、販売・物流オペレーション業務のみを当社が担当し、それ以外のFPGA活用ニーズの調査・案件発掘・案件獲得・技術サポートに関する業務はザイリンクス社が担当する。この変更によって売上総利益率が低下するが、売上高に影響は無い。主要大手顧客以外の顧客については、従来どおり当社が全ての販売業務を担当する。

 また一部取引形態変更を機に、主要大手顧客向けFPGAビジネスに携わっていた営業・技術サポート等の経営資源を、戦略的にソリューション事業、デザインサービス事業、FPGAベースのソリューション事業、成長市場向けの半導体ビジネスにシフトし、高収益ビジネス拡大を加速させる。そして中期計画目標値20年12月期売上高400億円以上、営業利益率5%以上の達成を目指すとしている。

 デザインサービス事業では、画像圧縮技術やFPGA設計ノウハウなどをベースとして、医療機器や産業機器の分野の売上が拡大している。

 ソリューション事業では、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)、乳幼児向け呼吸見守りシステム、紙梱包資材システムなど、新規分野の拡販を推進する方針だ。

 18年4月にはウィビコムを子会社化した。18年7月には東京理科大発ベンチャーのイノフィスと代理店契約を締結した。作業支援ウェアラブルロボット「マッスルスーツ」を販売する。18年8月にはディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)<3652>とFPGAを活用したエッジAIソリューションで協業開始した。

 18年9月にはハカルスとAIを搭載したFPGA製品およびボックスコンピュータの開発で協業開始した。またリキッド・デザイン・システムズが開発した保育施設向け午睡チェック専用アプリを販売開始した。19年1月にはハカルスとFPGA向けAIソリューションを共同開発した。19年3月にはRistとAIソリューションで協業開始、アジラとAIソリューションで協業開始した。

■仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動する収益特性

 一部の主要仕入先に対して保有する仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動し、売上総利益の増減に影響を与える収益特性がある。ドル高・円安は売上総利益押し上げ要因、ドル安・円高は売上総利益押し下げ要因となる。為替影響による売上総利益増減は15年12月期が4億31百万円の増加要因、16年12月期が5億30百万円の減少要因、17年12月期が22百万円の増加要因、18年12月期が35百万円の減少要因だった。

■19年12月期減収減益予想

 19年12月期連結業績予想は、売上高が18年12月期比8.4%減の280億円、営業利益が46.3%減の3億円、経常利益が16.4%減の2億50百万円、純利益が8.5%減の1億70百万円としている。配当予想は18年12月期と同額の年間10円(期末一括)としている。予想配当性向は64.4%である。

 売上面では上期に産業機器、ブロードバンド通信機器、海外携帯情報端末向けの半導体需要の減少を見込んでいる。利益面では半導体事業の減収、FPGAビジネスの一部取引形態変更の影響、モデルベース開発(MDB)受託ビジネス立ち上げやAIソリューション拡大に向けた体制整備に伴う先行投資などで減益予想としている。

 19年12月期は減益予想だが、20年12月期収益改善に向けてソリューション事業の進展に期待したい。

■株主優待制度は12月末の株主対象

 株主優待制度は毎年12月31日現在100株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HPを参照)する。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。3月28日の終値は578円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS15円52銭で算出)は約37倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS871円17銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約68億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る