【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セキドは下値を着実に切り上げ、16年3月期収益改善で続伸

銘柄分析

 ファッション専門店チェーンのセキド<9878>(東2)は、4月3日に15年2月20日期決算を発表した。株価は2月の直近安値圏130円近辺から下値を着実に切り上げている。16年3月20日期(決算期変更で13ヶ月決算)の収益改善を評価して続伸展開だろう。

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中した。海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「スーパーセレクトショップラブラブ」を直営で展開している。15年2月20日期末の店舗数は首都圏中心に23店舗である。

 収益力強化に向けた中期成長戦略として「GINZA LoveLove」のブランディング強化、小売法人向け商品供給や販売業務委託事業の強化、EC事業の強化を推進している。

 14年7月にはラオックス<8202>と業務提携した。当社がラオックスに対して高級ブランド品(バッグ・財布など)を提供し、ラオックスが当社に対して高級時計を中心とした宝飾品を供給する。相互の効率的な商品供給体制を確立して販売増につなげる戦略だ。ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。

 4月3日に発表した前期(15年2月20日期)の業績(非連結)は売上高が前々期比14.6%減の101億68百万円、営業利益が6億86百万円の赤字(前々期は89百万円の黒字)、経常利益が7億58百万円の赤字(同97百万円の黒字)、純利益が8億55百万円の赤字(同1億07百万円の黒字)だった。配当予想は無配(前期は年間1円)とした。

 消費マインド低迷の長期化や天候不順などが影響して大幅減収だった。さらに第4四半期(11月21日~2月20日)における滞留在庫処分なども影響して売上総利益率が低下し、営業赤字、経常赤字だった。純利益は固定資産の除却損や減損損失の計上も影響した。なお営業損失を計上したが、一方では営業キャッシュ・フローが黒字化しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないとしている。

 四半期別推移を見ると売上高は第1四半期(2月21日~5月20日)24億円、第2四半期(5月21日~8月20日)21億99百万円、第3四半期(8月21日~11月20日)20億74百万円、第4四半期(11月21日~2月20日)34億95百万円、営業利益は第1四半期69百万円の赤字、第2四半期1億63百万円の赤字、第3四半期1億91百万円の赤字、第4四半期2億63百万円の赤字だった。

 なお5月15日開催予定の第53回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されることを前提として、決算期を毎年2月20日から3月20日に変更する。

 今期(16年3月20日期、決算期変更に伴って13ヶ月決算)の業績(非連結)見通し(4月3日公表)は、売上高が124億円、営業利益が1億60百万円、経常利益が90百万円、純利益が60百万円の黒字化見通しとしている。配当は無配継続としている。

 消費増税や天候不順の影響が一巡し、賃金上昇よる消費マインドの改善や、訪日外国人旅行客のインバウンド消費も期待される。さらにチラシ・DM・催事による販促強化、小売法人向けの商品供給・販売業務委託事業・EC事業の強化、滞留期間短縮による商品在庫の鮮度アップ、売れ筋商品の機会ロス低減などによる売上総利益率の改善、店舗運営の効率化などで黒字化見通しだ。

 株主優待については、毎年2月20日および8月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施している。優待内容は、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈している。さらに2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ等で確認)。

 株価の動きを見ると、動意づいても買いが続かずやや上値の重い展開だが、直近安値圏130円近辺から下値を着実に切り上げている。16年3月20日期の収益改善を期待する動きだろう。

 4月10日の終値150円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円23銭で算出)は35~36倍近辺、実績PBR(前期実績のBPS199円79銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線が上向きに転じてきた。強基調に転換したようだ。訪日外国人旅行客のインバウンド消費も追い風となり、16年3月20日期の収益改善期待で2月の177円、そして14年7月180円を目指す展開だろう。

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