【編集長の視点】ジーニーは続落も今期業績黒字転換にOOH広告事業の成長可能性がオンして押し目買いが交錯

ジーニー<6562>(東マ)は、前日20日に19円安の528円と変わらずを含めて4営業日続落して引けた。ただ大引けでは、取引時間中につけたこの日の安値から20円超引き戻しており、下値には押し目買いが交錯した。同社株は、今年5月14日に3月期決算を発表し、前2019年3月期業績が、期中の下方修正値を上ぶれて赤字幅を縮小させて着地し、続く今2020年3月期業績が黒字転換と予想されていることが見直された。今年2月から本格運用した交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触するOOH(アウト・オブ・ホーム)領域のデジタルサイネージ広告のタクシー配車サービス向けプラットフォームの成長可能性も、側面支援材料視されている。


■前期3Qで業績は底打ちしタクシー配車向けプラットフォームサービスも上乗せ

 同社の前2019年3月期業績は、営業利益が3億1000万円の赤字(前々期は5億2700万円の黒字)と赤字転換したが、赤字幅そのものは、昨年11月の下方修正値より9000万円縮小させて着地した。アド・プラットフォーム事業で一部取引先の広告配信ポリシー変更の影響を受け、人件費増、本社移転に伴う減価償却負担、固定資産の減損損失計上が重なった結果だが、3カ月ごとの四半期ベースでは、第3四半期(2018年10月~12月期、3Q)に業績が底を打ち、第4四半期(2019年1月~3月期、4Q)から回復ステージに入ってきたことが要因となった。

 今2020年3月期業績は、売り上げ155億7200万円(前期比4.1%増)、営業利益2300万円(前期は3億1000万円の赤字)、経常利益700万円(同3億3000万円の赤字)、純利益3900万円の赤字(同5億4400万円の赤字)と黒字転換を予想している。同社が、経営指標としている営業利益と減価償却費、のれん償却費を合算したEBITDAも、前期に1902万円の黒字を確保し、今期は3億5900万円と大幅続伸する見込みである。引き続き大手メディアへのアプローチを強化してアド・プラットフォーム事業を拡大させ、マーケティングオートメーション事業でも機能強化に取り組み、海外事業でも、クロスボーダー広告配信サービスを拡大させることなどが要因となる。

 なかでも今年2月から本格運用を開始したタクシー配車サービス向けプラットフォーム事業は、OOH領域のデジタルサイネージの国内市場が、2018年見込みの1658億円から2025年には3186億円に大きく伸びると予測されており、同社業績の高成長エンジンとして期待されている。

■25日線から17%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆し急騰相場の再現期待も

 株価は、タクシー配車サービス向けプラットフォームの本格運用開始を手掛かりに2日間のストップ高を交えて815円まで約300円高し、いったん591円安値まで下ぶれたが年初来高値831円へ切り返した。同高値からは、令和相場入り後の全般相場の続落とともに500円台央まで再調整、下値確認を続けてきた。25日移動平均線からは17%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、急騰相場再現期待を高めまず今年5月の戻り高値666円を奪回し、弾みをつけて4月の年初来高値831円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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