【編集長の視点】加賀電子は続落も減益業績織り込む値幅・日柄調整は最終局面で底値買いが交錯

 加賀電子<8154>(東1)は、前日12日に17円安の1603円と続落して引けた。同社株は、今年5月14日に発表した3月期決算で、前期純利益が期初予想を上ぶれ13期ぶりに過去最高を更新し、期末配当も増配したが、今期純利益を減益転換と見込み、市場予想を下回ったことから下値模索が続き4月につけた年初来安値1535円まで売られた。ただ前日12日の取引時間中には1626円まで買われる場面があり、高値からの値幅で30%超、日柄で約2カ月の調整と値幅・日柄調整が最終局面として、年初来安値を前に底値買いも交錯した。国内証券が、目標株価を引き下げたものの、投資判断そのものは「強気」を継続していることも見直されている。


■今期売り上げは46%増と大幅続伸も特別利益一巡で純益減益

 同社の前2019年3月期業績は、期初予想に対して上ぶれ・下ぶれとマチマチの着地となり、純利益は、期初予想を7億1400万円上回って80億1400万円(前々期比23.5%増)と増益転換率を拡大させ、過去最高の72億7200万円(2006年3月期)を13期ぶりに更新した。今年1月に富士通エレクトロニクスをグループ化したことによる「負ののれん発生益」を特別利益に計上し、連結納税制度により法人税負担が減少したことなどが要因となった。なお富士通エレクトロニクスは、前期は第4四半期(2019年1月~3月期、4Q)3カ月のみの寄与となったが、売り上げで570億9000万円、営業利益で2億4200万円の業績上乗せとなった。

 今2020年3月期業績は、売り上げ4300億円(前期比46.9%増)、営業利益70億円(同7.5%減)、経常利益70億円(同10.9%減)、純利益50億円(同37.6%減)と連続大幅増収・減益転換を予想している。売り上げは、富士通エレクトロニクスの売り上げ1950億円が貢献して大きく続伸するが、同子会社そのものの業績は、大口商権解消リスクを織り込み利益寄与は限定的とし、推進中の中期経営計画達成のため海外新工場の増強投資が続くことなどから減益転換する。純利益は、前期業績に寄与した特別利益、法人税軽減が一巡し減益転換率が大きくなる。なお、中期経営計画では、最終年度の2022年3月期に売り上げ5000億円、営業利益130億円の達成を目指している。

■高値から値幅で30%超、日柄で2カ月調整しPER8倍・PBR0.5倍水準から底上げ

 株価は、期末の配当権利取りと同社の出資先のギークス<7060>(東マ)が、今年3月20日に新規株式公開(IPO)され、公開価格1930円に対して5430円まで買い進まれる高IPO株人気が加わって年初来高値2252円をつけた。その後、令和相場入り後の全般相場続落にツレ安し、今期業績の減益転換予想も重なって年初来安値1535円まで大幅調整した。年初来高値から30%超調整しPERは8倍台、PBRは0.57倍、配当利回り3.74%は明らかに売られ過ぎで、日柄調整的にも高値から2カ月経過しており、底上げに再発進が見込まれる。まず年初来高値から同安値への調整幅の3分の1戻しとなる25日移動平均線水準の1700円台を奪回し、次いで半値戻しの1900円台を目指すリバンド幅の拡大が続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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