【編集長の視点】イトーキは「XORK」をベースに「テレワーク・デイズ」需要取り込みを期待して続伸

 イトーキ<7972>(東1)は、前日4日に3円高の464円と続伸して引け、一時は478円まで上値を伸ばし6月3日に突っ込んだ年初来安値391円から底上げする動きを強めた。同社株は、昨年10月に開設した新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」のワーキングショールーム機能をフルに活用して、働き方改革関連需要の取り込みを積極化しており、今2019年12月期の2ケタ増益転換予想の再評価も加わり、低位値ごろ割安株買いが増勢となった。ビジネス環境的にも、今年4月1日に働き方改革関連法が施行され、今年7月22日から「テレワーク・デイズ2019」が実施予定にあることも、業績押し上げ期待を高めている。


■展示チェアが米国デザイン賞受賞など「XORK」がショールーム機能をフル発揮

 「TOKYO XORK」は、自律的に活動するワーカーほど生産性を向上させ高い創造性を発揮することなどを実証した調査結果に基づき、これを可能とする統合ワークスタイル戦略「ABW」と、社員の心身を健全に保つ「Well Being」の概念を実現する空間品質基準とを融合させる「次世代のWork Style」を実践するオフィスビル空間をアピールするショールーム機能を持たせて開設された。展示されているオフィス家具の一つであるライトデスクチェア「Levi(レヴィ チェア)」は、米国の環境認証制度の認証を取得済みであるとともに、今年6月には北米で権威のあるデザイン賞の「HiP Awards 2019 at NeoCon」を受賞するなど注目されている。

 4月に施行された働き方改革法が目指す多様で柔軟な働き方の実現では、生産性の向上や人手不足解消に向け在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を可能とするテレワークの推進が期待されており、これに対しても同社は、今年5月29日に在宅テレワーク用のチェア「SALIDA(サリダ)YL9」を新たに発売するなど積極対応している。「テレワーク・デイズ2019」は、参加団体を3000団体、参加人数を60万人以上を目標と規模を拡大して7月22日から9月6日まで約1カ月実施される予定であり、関連需要の取り込みも有望となる。

 今2019年12月期業績は、純利益が、前期計上の固定資産売却益が一巡して17億円(同1.5%減)と小幅減益転換するが、売り上げは1230億円(前期比3.6%増)と続伸し、営業利益は31億円(同60.8%増)、経常利益は30億円(同26.7%増)とV字回復を見込んでいる。働き方改革の関連需要が業績をフォローすることになる。

■低位値ごろ妙味に低PER・PBR修正がオンして早期に年初来高値調整幅の半値戻しへ

 株価は、今年2月に今期業績のV字回復予想とともに年初来高値638円まで買われたものの、その後の再三にわたる世界同時株安にツレ安して年初来安値391円まで調整した。同安値は、PERが10倍台、PBRが0.38倍、配当利回りが3.32%と売られ過ぎとして25日移動平均線水準まで底上げ、足元では同移動線で下値を確認しながら上値を窺ってきた。PERはなお12倍台、PBRは0.45倍と割り負けており、低位値ごろ妙味も注目され、年初来高値から年初来安値への調整幅の3分の1戻しの473円を上抜いてから加速して半値戻しの514円奪回を早め、全値戻しを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る