【編集長の視点】綿半HDは変わらずも月次既存店売上高の連続2ケタ増を手掛かりに底上げを窺う

綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日11日に前日比変わらずの2150円で引けた。同社株は、今年7月29日に開示した今2020年3月期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)業績が、2ケタ減益転換したことで下値を探ってきたが、9月10日に発表した今年8月度の月次売上高動向で、全店売上高が、昨年12月以来、9カ月連続して2ケタ増となり、既存店売上高も3カ月ぶりにプラス転換と好調に推移したことから、今2020年3月期業績が、5期連続で過去最高更新と予想され、配当も連続増配を予定していることを見直し売られ過ぎ訂正買いが交錯した。今年8月9日に発表したサイエンスホーム(静岡県浜松市)の株式取得・子会社化も、業績期待を高め、さらに株式需給的にも下値で信用売り残がやや拡大していることも、売り方の買い戻し思惑につながっている。

■アベルネット上乗せで月次売上高が好調に推移しサイエンスホームも業績寄与期待

同社の8月度の月次売上高動向は、既存店が前年同月比1.2%増と3カ月ぶりにプラス転換し、全店売上高は、同22.5%増と9カ月連続で前年同月実績に対して2ケタ増となった。8月度は、台風、猛暑で客足が伸び悩む気象環境下、ワークショップ開催や季節商品の実演販売を積極的に推進し、夏物家電やインテリアなどの季節商品が好調に推移し、既存店は、客単価も4.2%増と前年同月を上回った。全店では、2018年12月にグループ会社化したインターネット通販の老舗企業・アベルネット(東京都台東区)が、早期戦力化し客数が0.8%増と3カ月ぶりにプラスとなり、客単価は21.6%増と9カ月連続で前年同月を大きくオーバーした。

 一方、同社の今2020年3月期業績は、1Q業績が、天候不順の影響などで売り上げが前年同期より19.6%増と続伸し、利益は42.0%減~58.7%減と落ち込んだが、3月通期業績は、期初予想に変更はなく、売り上げ1142億4500万円(前期比7.3%増)、営業利益26億7300万円(同13.0%増)、経常利益28億1100万円(同12.2%増)、純利益16億4000万円(同1.7%増)と見込み、5期連続で過去最高を更新する。配当も、年間34円(前期実績33円)と連続増配する。なお8月9日に子会社化を発表したサイエンスホームは、国産ひのきなどを利用した伝統工法による戸建木造住宅のフランチャイズ事業を展開し、加盟店は全国130店に達しており、綿半HDの建設事業との相乗効果を上げる見込みで、8月27日に同社株式の取得を完了したことから、アベルネットと同様の早期戦力化の期待も高めている。

■売り方の買い戻しも交錯しまず年初来高値から直近安値への調整幅の半値戻しへ

 株価は、今期第1四半期(1Q)決算先取りで年初来高値2576円まで買い進まれたが、1Q業績が、増収転換・減益転換とマチマチで着地したことと米中貿易摩擦再燃による世界同時株安が重なって8月6日に2100円まで突っ込み、サイエンスホームの株式取得で2287円までリバウンドしたものの、足元では、全般相場のハイテク株買い・内需株売りが波及して2100円台固めを続けている。この間、信用売り残は、約11万株から14万株超にやや拡大し売り長で逆日歩のつく好需給となっており、PERも12倍台と同社のヒストリカル的な過去平均から売られ過ぎとなっている。売り方の買い戻しなどを手掛かり材料に底上げに再発進し、まず年初来高値から直近安値への調整幅の半値戻しの2338円奪回に進もう。【本紙編集長・浅妻昭治)

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