【編集長の視点】カナデンは年初来高値に肉薄、業績上方修正・増配を手掛かりにハイテクバリュー株買い再燃

編集長の視点

 カナデン<8081>(東証プライム)は、前日31日に9円高の1499円と反発して引け、10月27日につけた年初来高値1509円に肉薄した。同社株は、今年10月18日に今2024年3月期の第2四半期(2023年4月~9月期、2Q)累計業績の2回目の上方修正と3月期通期業績の上方修正、さらに増配を発表しており、その再上方修正した2Q累計決算を前日31日に開示予定にあることを先回りしてハイテクバリュー株買いが再燃した。テクニカル的にも5日移動平均線が、75日移動平均線、25日移動平均線を下から上に突き抜けるミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、側面支援材料となっている。

■FAシステムの部材不足が改善し半導体・デバイスも順調推移

 同社の今3月期業績は、8月29日に2Q累計業績を上方修正し、10月18日にその2Q累計業績を再上方修正するとともに3月期通期業績を上方修正した。このうち3月期通期業績は、期初予想より売り上げを20億円、営業利益を1億円、経常利益を3億円、純利益を2億円それぞれ引き上げ、売り上げ1150億円(前期比8.1%増)、営業利益46億円(同15.9%増)、経常利益48億円(同13.1%増)、純利益32億円(同10.5%増)と見込み、連続増益率を伸ばす。前日31日大引け後に開示した今期2Q累計業績は、再上方修正通りに着地した。FAシステムの部材不足が改善し、情通・デバイス部門では、産業機械や家庭用電気機器向けの半導体・デバイスが順調に推移し、円安・ドル高の恩恵も上乗せとなったことなどが要因となった。

 ただ3月期通期業績の上方修正幅は、2Q累計業績の再上方修正幅の約半分と下期業績に関して慎重予想となっており、下期業績が2Q累計業績と同様に推移すれば、純利益は2020年3月期の過去最高(34億1600万円)を更新する可能性もあり、今後の注目材料となる。今期配当は、業績の上方修正に伴い連結配当性向35%をメドする配当政策に従って期初予定の年間46円を48円(前期実績39円)へ引き上げ連続増配幅を拡大させる。

■ミニGC示現でPER10倍、PBR0.7倍、配当利回り3.2%の修正を加速

 株価は、今年2月に実施した自己株式立会外買付(買付価格1137円)・消却以来、下値を切り上げる展開が続き、とくに決算発表があるたびに上値反応してきた。今期2Q累計業績の1回目の上方修正では窓を開けて1480円高値まで買い進まれ、その後の窓埋めをした調整安値1240円からは3月期通期業績の上方修正と増配発表で窓を開けて再急伸し年初来高値追いとなり、5日線が75日線、25日線を上抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。PERは10.9倍、PBRは0.76倍、配当利回りは3.20%となお割安であり、割安修正加速で次の上値ターゲットとして2020年9月高値1524円を上抜き2018年1月高値1613円が意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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