【編集長の視点】サンコーテクノは小反落も1Q好決算、通期連続増益業績を手掛かりに押し目買いが交錯

 サンコーテクノ<3435>(東2)は、前日16日に6円安の1187円と変わらずを含めて3日ぶりに小反落して引けた。前日朝方に日経平均株価が一時、中国の景気鈍化懸念でフシ目の2万2000円台を割ったことから、7月23日につけた年初来安値1122円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ反落幅は限定的であり、今年8月9日に発表した今2019年3月期第1四半期(2018年4月~6月期、1Q)決算が、前年同期に続いて2ケタ増益で着地し、今3月期通期業績も、連続増収増益と予想されていることを見直し、下げ過ぎとして押し目買いが続いている。

■五輪・再開発工事向けに主力製品が好調に推移し今期1Q業績は連続2ケタ増益

 同社の今2019年3月期業績は、売り上げ168億円(前期比2.9%増)、営業利益12億円(同3.5%増)、経常利益12億1000万円(同4.1%増)、純利益8億3500万円(同4.8%増)と3期ぶりに増収増益転換した前期業績に次ぎ続伸が予想されている。2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックを控えて首都圏を中心に関連工事や再開発事業が活発化し、さらに老朽化したインフラ改修・保全工事も増加しており、シェア約50%と業界トップの金属系あと施工アンカーが順調に推移し、機能材事業でも、アルコール測定器が、鉄道・バス会社向けに伸び、歩道橋補修システム用の紫外線硬化型FRPシートが、今年1月に国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されたことなどが要因となる。

 この立ち上がりの今期1Q業績は、前年同期比1.6%増収、59.1%営業増益、61.3%経常増益、93.6%純益総益と前年同期と同様に2ケタ増益と好調に推移した。金属系あと施工アンカーを展開しているフアスニング事業の売り上げが、公共事業の伸び悩みを民間工事の増加でカバーして同5.8%増と伸び、セグメント利益が同13.4%増、機能材事業でアルコール測定器や電動油圧工具関連の販売が好調に推移したことなどが寄与した。なお同社の今期配当は、年間24円(前期実績22円)と連続増配が予定されている。

■低PER・PBR修正で年初来調整幅の半値戻しの1株純資産水準を目指す

 株価は、FRPシートの「NETIS」登録に前期末の配当・株主優待制度の権利取りが続いて年初来高値1496円まで買い進まれ、1200円台固めを続けたが、米中貿易戦争勃発を懸念した数次にわたる世界同時株安が波及して下値を探り、年初来安値1122円へ調整した。同安値水準では値付き難となったが、PERは11倍台、PBRは0.8倍、配当利回りは2.02%と下げ過ぎを示唆しており、底上げに転じた。年初来高値から同安値への調整幅の半値戻しが1株純資産1393円水準となっており、まずこの半値戻しを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■半導体パッケージの微細化に対応、LDI露光で1.0μm幅パターンを実現  旭化成<3407>(東…
  2. ■物流費やエネルギーコストの上昇受け、企業努力では限界  亀田製菓<2220>(東証プライム)は5…
  3. ■約100種類の実践講座で次世代エンジニアを育成  トヨタグループ5社は5月22日、AI・ソフトウ…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る