【編集長の視点】加賀電子は14期ぶりの2Q最高業績を見直し割安修正買いが拡大して続伸

加賀電子<8154>(東1)は、前日3日に取引時間中の2413円安値から切り返し4円高の2472円と続伸して引け、11月8日につけた年初来高値2604円を再び意識する動きを強めた。日経平均株価が、2日の米国株安や円高の影響を受けて149円安と反落するなか、今年11月7日に発表した今2020年3月期第2四半期(2019年4月~9月期、2Q)累計業績が、2Q累計業績として14年ぶりに過去最高を更新したことを見直し割安修正買いが増勢となり、逆行高した。今2020年3月期通期業績は、期初予想を据え置いたが、今年10月以降に内外でEMS(電子機器の受託製造サービス)工場が、相次ぎ稼働を開始したことから業績上ぶれ期待も強め、フォローの材料と評価されている。

■通期業績は2Q業績の高利益進捗率に相次ぐ新工場稼働が加わり上ぶれ期待

 今期2Q累計業績は、14年ぶりに過去最高を更新し、売り上げ2306億3000万円(前年同期比99.9%増)、営業利益52億3900万円(同38.9%増)、経常利益55億4600万円(同37.0%増)、純利益35億200万円(同27.4%増)とV字回復して着地した。今年1月の富士通エレクトロニクスのグループ会社化により携帯電話や車載機器向けなどの新規収益が上乗せになって売り上げが倍増し、EMSビジネスでは、医療機器、車載機器向けを中心に増収となり、情報機器事業でも、パソコン販売が好調に推移したことなどが要因となった。

 今2020年3月期通期業績は、米中貿易協議の先行きや中国の景気動向などが不透明として期初予想を据え置いた。売り上げ4300億円(前期比46.9%増)、営業利益70億円(同7.5%減)、経常利益70億円(同10.9%減)、純利益50億円(同37.6%減)と見込んでいる。ただ、2Q累計業績は、この通期予想業績に対して70%~79%の高利益進捗率を示している。また下半期に入って、今年10月1日にパイオニアの製造子会社の十和田パイオニアをグループ会社化し、10月28日に子会社の須賀川新工場(福島県須賀川市)が稼働を開始し、12月にはタイのアマタナコン第2工場がそれぞれ稼働を開始することなどから業績上ぶれ期待が強まっている。

■25日線へ下ヒゲを伸ばして下値を確認し低PER・PBR修正に再発進

 株価は、中間配当の権利取りでつけた2026円高値から配当権利落ちに世界同時株安が重なって1890円まで下ぶれたが、売られ過ぎ修正買いに今期2Q累計業績の好決算報道が加わり一気に年初来高値2604円まで700円超高した。足元では、上向きの25日移動平均線に対して下ヒゲを伸ばして下値を確認しつつ高値固め場面が続いているが、PERは13倍台、PBRは0.88倍、配当利回りは2.42%と割安である。年初来高値抜けから昨年5月以来の3000円大台奪回が有力となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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