【編集長の視点】「黒田ショック」の「ハシゴ外し」にはまず「究極のディフェンシブ系」でデフレ関連株に逆行高を期待=浅妻昭治

編集長の視点

 さしずめ「黒田ショック」と「アップル・ショック」である。ゴールデン・ウイーク直前の4月28日の日米両株式市場は、日経平均株価が624円安と急続落し、ニューヨーク工業株30種平均株価は、210ドル安となった。日経平均の急続落は、28日の昼休み中に日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、現状維持と決定され、黒田東彦総裁の得意技の「黒田サプライズ」が不発となり、追加緩和策を先取りしていたマーケットからの失望売りが殺到したことが引き金となった。NYダウは、著名投資家が、決算悪となったアップルの保有株をすべて売却したと伝えられて、IT(情報技術)株全般に売りが広がったことが要因となった。

 ただ同じショック安でも、市場参加者に与えるショック度は、日米両市場では大きく異なるようだ。東京市場は、29日から大型連休に入り、完全に連休明けとなる5月9日まで市場は5月2日と6日の2日間しかオープンしない。保有株を売ろうにもその機会は限定的になる。日銀の現状維持の金融政策が、株価にどの程度のマグニチュードになり、どの水準で織り込み済みとなるか、東京市場が自ら判断するより、海外市場での日経平均先物の動向に左右されるウエートがより高まることになる。現に連休前半の海外市場はで、先物がさらに下値を追っており、9日の連休明けの東京市場では、市場参加者は、まさに「ハシゴ」を外されるリスクが高まっている。

 日米両市場でもっと大きな違いは、為替動向である。28日に日銀の現状維持決定が伝わると為替相場は、一気に円高・ドル安となり、1ドル=107円台後半まで3円近い円高となり、その後の海外市場で106円台まで進んだ。しかも踏んだり蹴ったりで、米国財務省は、4月29日に公表した為替報告書で、日本を為替操作を行っているかどうか監視する「監視リスト」に指定、為替介入への予防的な牽制を行った。日米両市場では、決算発表がたけなわとなっているが、為替動向は、円高なら日本企業の業績への下押し要因、ドル安は米国企業には業績押し上げ要因と真逆に影響する。

 例えば、4月27日に3月期決算を発表したアルプス電気<6770>(東1)は、今期純利益を前期比18%減益と予想し、市場コンセンサスを下回ったが、これを受けた28日の同社株は、配当を連続増配することに加え、予想が保守的、悪材料織り込み済みとして一時22%高と急伸した。今期の想定為替レートは、1ドル=110円と設定し、これまで決算を発表した輸出主力株と横並びとなっているが、今後の為替動向次第では、予想が保守的、悪材料織り込み済みなどとはいっていられなくなる。熊本地震の影響で決算発表日を当初予定から延期したホンダ<7267>(東1)ソニー<6758>(東1)を含めて今後、輸出主力株が、今期の為替レートをどう想定し、どのような業績予想を打ち出してくるか要注目となる。

 日銀の現状維持の金融政策でガラリと風景が変わった相場環境下では、リスクオンがリスクオフと一変して投資対象を絞り込むことはいっそう難しくなる。前回の当コラムでは、追加金融緩和策を先取りして「4本立て相場」などと大風呂敷を広げておいてとお叱りを受けそうだが、ここは「君子」は「豹変」も「虎変」もしなくてはリカバリーはおぼつかない。そこでここからの相場展開は、今年2月急落時の振り出しに戻って、東証マザーズ銘柄の逆行高から立て直すしを期待するか、それともディフェンシブ系の小型株から相場修復を目指すかのどちらかだと想定して対処するところだろう。なかでもディフェンシブ株は、究極の銘柄といえば、デフレ関連株であり、今回の当コラムは、このデフレ関連株にアプローチしてみたい。

 というのも、今回の金融政策決定会合で公表された展望レポートでは、2016年度、2017年度の経済成長率を下方修正し、物価安定目標の消費者物価の2%程度の達成時期をまたも2017年度中に後ずれさせた。これは、金融緩和策を進めている「黒田バズーカ」の狙いの貯蓄から投資への「ポートフォリオ・リバランス」も「デフレ・マインドからの脱却」も、なお道遠いことを示唆している。あの「失われた10年」の痛い経験で日本の隅々の骨の髄まで、「インフレはモノ、デフレはカネ」との教訓が浸透しており、たかだか4年程度の金融緩和策ではこの払拭は容易ではないのである。だからマイナス金利が初導入された今年1月末以降、マネー退蔵用の金庫が売れ、日本アイ・エス・ケイ<7986>(JQS)の株価が急伸したように、まず生活防衛意識、節約志向が働くのである。

 ただデフレ関連株は、しまむら<8227>(東1)ニトリホールディングス<9843>(東1)などどの定番銘柄でも、ここから逆行高が期待できるかといえば、そうとも限らないことには注意する必要がある。連休前の28日も定番銘柄のなかで、ワッツ<2735>(東1)は、年初来高値を更新する一方で、サイゼリヤ<7581>(東1)は、年初来安値を更新する動きとなった。またワッツと同業他社の100円ショップ株のキャンドゥ<2698>(東1)セリア<2782>(JQS)の値動きも限定的で、金融政策決定会合で現状維持が決定されたのを受けて必ずしもデフレ関連株が高まったとはいえなかった。この対照的な株価反応の要因を探ると、やはり業績動向と株価自体に割安感があるかないかが選別物色のポイントとなっていたことが明らかである。出遅れデフレ関連株こそ「究極のディフェンシブ株」に浮上するはずである。(本紙編集長・浅妻昭治)

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