【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ピックルスコーポレーション高値更新の展開、依然として指標面の割安感強く上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ピックルスコーポレーション<2925>(JQS)は漬物やキムチ製品の最大手である。株価は16年2月期増収増益見通しを好感して高値更新の展開だ。27日は前日比88円(7.07%)高の1333円まで急伸する場面があった。中期成長力を評価する流れに変化はなく、指標面には依然として割安感が強い。目先的な過熱感を冷ましながら上値を追う展開だろう。

 漬物・浅漬・キムチなど漬物製品の最大手メーカーである。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニエンスストアが主要取引先であり、ブランド力の向上、新製品の積極投入、成長市場である惣菜製品の強化などを推進している。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力向上とともに収益力も大幅に高まっている。

 事業エリア拡大や供給能力増強に向けた動きも加速し、中・四国エリアでは広島新工場(ピックルスコーポレーション関西)、北海道エリアでは札幌新工場(ピックルスコーポレーション札幌)が稼動している。

 4月20日には「ご飯がススム」シリーズの「ご飯がススム キムチ」「ご飯がススム キムチ辛口」「ご飯がススム カクテキ」を4月28日からリニューアル発売すると発表した。

 4月15日に発表した前期(15年2月期)の連結業績は売上高が前々期比4.5%増の268億05百万円、営業利益が同23.9%増の10億56百万円、経常利益が同13.0%増の10億98百万円、純利益が同17.3%減の5億03百万円だった。純利益はピックルスコーポレーション札幌の旧工場固定資産減損損失計上が影響した。

 配当予想は前々期比3円増配の年間15円(期末一括)とした。なおROE(自己資本当期純利益率)は7.3%(前々期比1.3ポイント低下)で、自己資本比率は41.5%(同9.4ポイント低下)だった。

 夏場の長雨や日照不足の影響で原料野菜価格が上昇し、ピックルスコーポレーション札幌における許容量を超える生産に伴う収益性低下も影響したが、一方ではブランド力の向上、積極的な販促活動や新製品投入などの効果で増収、営業増益、経常増益だった。

 なお四半期別推移を見ると売上高は第1四半期(3月~5月)68億18百万円、第2四半期(6月~8月)73億04百万円、第3四半期(9月~11月)63億18百万円、第4四半期(12月~2月)63億65百万円、営業利益は第1四半期3億83百万円、第2四半期2億94百万円、第3四半期2億13百万円、第4四半期1億66百万円だった。

 今期(16年2月期)の連結業績見通し(4月15日公表)については、売上高が前期比5.0%増の281億50百万円、営業利益が同14.3%増の12億07百万円、経常利益が同13.2%増の12億43百万円、純利益が同39.3%増の7億01百万円、配当予想が前期と同額の年間15円(期末一括)としている。

 キムチ製品や惣菜製品のブランド力向上、全国の製造・販売拠点を活用した営業活動、積極的な広告宣伝・販売促進活動、新製品開発・投入や他の食品メーカーとのコラボレーションなどの効果で、既存取引先への拡販や新規取引先の開拓が一段と進展する。コスト面では天候不順による原料野菜価格高騰の影響が一巡し、ピックルスコーポレーション札幌の収益性も改善するようだ。特別損益における固定資産減損損失という一過性要因も一巡して増収増益が予想される。

 さらに事業エリア拡大と供給能力増強、契約栽培拡大などによる原料野菜の安定調達、原材料購買方法の見直しなどの戦略も着実に推進している。中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお14年11月実施のTOBによる自己株式取得によって、第1位株主の東海漬物の保有割合が27.20%に低下して親会社に該当しないこととなった。親会社の経営戦略の影響を受けずに、当社独自の経営判断で企業価値向上を図ることのできる体制を構築する。

 また4月15日には役員退職慰労金制度を廃止して株式報酬型ストックオプションを導入すると発表した。5月28日開催予定の第39回定時株主総会に付議する。

 株価の動きを見ると、16年2月期増収増益見通しを好感する形で高値更新の展開だ。4月15日に1200円を付けて14年12月の1194円を突破した。さらに27日は前日比88円(7.07%)高の1333円まで急伸する場面があった。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。

 4月27日の終値1329円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS149円47銭で算出)は9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1394円19銭で算出)は1.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が拡大して目先的な過熱感を強めているが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。中期成長力を評価する流れに変化はなく、指標面には依然として割安感が強い。目先的な過熱感を冷ましながら上値を追う展開だろう。

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