加賀電子の2020年3月期連結業績はEMSビジネス拡大し営業利益が初の100億円台に

■富士通エレクトロニクスを迎え車載関連など新たな収益基盤が加わる

加賀電子<8154>(東1)が5月21日に発表した2020年3月期の連結業績は、売上高が4436億1500万円(前期比51.5%の増加)となり、営業利益は100億1400万円(同32.3%の増加)と各々大幅に伸長し、ともに過去最高を更新した。

 医療機器、車載関連向けのEMS(製品の開発・生産受託サービス)ビジネスが年度を通して順調に推移した。さらに、19年1月に連結化した富士通エレクトロニクス株式会社(非上場)の業績も期初から寄与した。販売費及び一般管理費は32.3%増加したものの、営業利益の伸びが示すようにバランスの取れた増加だった。

■旧パイオニアグループ企業も連結子会社となりベトナムなどには新工場

 一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損を計上したこと、前期に計上した企業買収にともなう「負ののれん発生益」の反動減があり、58億5200万円(同期27.0%減)となった。

 「電子部品事業」では、数年前からEMSビジネスのさらなる競争力強化に注力してきた。19年1月に富士通エレクトロニクスを連結子会社に迎え、車載機器向けなどの新たな収益基盤が加わった。また、同年10月には、旧・十和田パイオニア株式会社がグループ入りし、加賀EMS十和田株式会社として活動を開始した。同月には福島県で新工場が稼働を開始し、12月にはタイで第2工場も稼働を開始した。総じて計画を上回る推移となり、このセグメントの売上高は3775億8700万円(同67.4%増)となり、セグメント利益は75億300万円(同57.6%増)となった。

 「情報機器事業」は、商業施設向けのLED設置ビジネスなどで大口顧客の置き換え需要が一服したことなどにより、セグメント売上高は434億6600万円(同2.0%減)となり、セグメント利益は17億7000万円(同10.4%減)となった。

 「ソフトウェア事業」は、CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発などを行い、この期は、セグメント売上高が27億7800万円(前年同期比3.4%減)となり、セグメント利益は2億3600万円(同4.3%減)となった。

■「5G」「CASE」の新市場と「IoT」や「AI」の新技術で電子部品需要は拡大

 今期・21年3月期の連結業績見通しは、新型コロナウイルス御世界的な感染拡大を受け、現時点では未定とした。

 ただ、情報通信領域では「5G(第5世代移動通信システム)」の本格導入にともなう新たな市場の拡大、「IoT」や「AI」を組み合わせた新しいビジネスの展開、また、自動車関連領域では「CASE」に象徴される自動車の更なる電装化や電脳化など、中長期的に電子部品需要が拡大するという見通しは従来通り変わりないとした。(HC)

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