【編集長の視点】東京精密は前期業績上ぶれ着地も今期減収益転換で市場予想を下回り減配も重なり急反落

編集長の視点

東京精密<7729>(東1)は、93円安の2635円と5営業日ぶりに急反落して始まっている。前日13日大引け後に3月期決算を発表、前2015年3月期業績は、今年2月の再上方修正値を上ぶれて着地し、純利益は、2007年3月期の過去最高(87億4100万円)を8期ぶりに更新し、期末配当も、今年2月に続いて再々増配したが、続く今2016年3月期業績は、減収減益転換を予想して市場コンセンサスを下回り、配当も減配を予想したことが響き利益確定売りが先行している。

■半導体後工程製造装置に世界的な設備投資活発化の追い風

前2015年3月期業績は、今年2月の再上方修正値を売り上げが約24億円、利益が約13億円~10億円それぞれ上回り、前々期比20.2%増収、41.8%経常増益、53.5%純益増益で着地し、純利益89億9300万円は、過去最高を2億5200万円上回った。半導体製造装置部門では、ハイエンドのスマートフォンの新機種の販売が好調に推移し、新興国でも急速に普及、さらにクラウドサービス進展に伴うオンラインストレージ需要の拡大などで半導体メーカーや電子部品メーカーの設備投資が積極化して、同社主力の検査工程、組立工程などの後工程製造装置の需要が増加し、計測機器部門でも、主要ユーザーの自動車業界の設備投資が世界的に活発化、受注、売り上げとも好調に伸びたことなどが上ぶれ着地要因となった。

今2016年3月期業績は、半導体製造装置、計測機器とも引き続き多方面にわたる設備投資ニーズをきめ細かく取り込むが、売り上げ660億円(前期比0.7%減)、経常利益118億円(同7.8%減)、純利益85億円(同5.5%減)と予想、純利益は、市場コンセンサスを約3億円下回る。

配当は、前期期末配当を今年2月の再増配配当にさらに7円上乗せして年間55円(前々期実績23円)と大幅増配したが、今期は年間52円と減配を予定している。

■25日線で下値を確かめPERは12倍台と売られ過ぎも示唆

株価は、今年2月の前期業績の再上方修正と再増配をテコに年初来高値2985円まで28%高して2438円と調整、25日移動平均線水準まで引き戻して中段固めを続けてきた。きょう14の急反落で再度、25日線を下抜き下値を探っているが、PERは12倍台、配当利回り1.99%と実態面からは売られ過ぎも示唆しており、目先売り一巡後の切り返し展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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