梅雨明けを先取りし売れ筋商品をテコに猛暑関連株に照準を合わせるディフェンシブ株投資も一考余地=浅妻昭治

関東甲信地方の梅雨明けは、平年通りなら7月21日ごろである。気象庁の予報によれば、今年の梅雨は長引き降雨量も多く、その一方で気温は、エルニーニョ現象の影響で高く推移し冷夏とはならないとなっていた。6月8日ごろの梅雨入り以来、一部地域で突然のゲリラ豪雨に見舞われ、降水量が平年の3倍に達するなどの天候もみられるが、気象庁の予報通りの梅雨となるかどうかはこれから後半の気象状況次第ということだろう。

株式市場の方は、梅雨入り前に日経平均株価の連続上昇が、12日間でストップし、梅雨入りとともにややジメジメ相場が続き、中盤では15年2カ月ぶりの高値更新とカラ梅雨模様となったのも束の間、ギリシャへの債務支援協議の決裂で株価が急落するゲリラ豪雨に見舞われる梅雨模様となっている。もちろん株式市場が、このままジメジメとした梅雨相場となるか、それとも梅雨明けを先取りして高値再奪回に動くかのポイントは、ギリシャの債務問題に関する国民投票の行方、南欧諸国への影響、米国の景気動向やFRB(米連邦準備制度理事会)の金利引き上げ時期、さらに円高か円安か為替相場の動静などに掛かっている。しかし、そうした外部材料に振り回され勝ちな全般の相場動向のなかで、だからこそその圏外にある梅雨明け間近の天候要因が、株価材料として機能させたいとする相場モチベーションが働くことは十分にあり得ることである。

かつて株式市場では、雨の降る日は株安とのアノマリーが信じられていた。雨が降ると証券マンの外回り、顧客開拓の足が鈍るというのが定説であった。顧客との受け渡しが、かつての対面営業からネット取引に変わった現在も、このアノマリーが健在かどうかは不確かである。ただ、梅雨明けとともに気温が急上昇する天候要因に合わせて、必ず動意付く銘柄群があった。いわゆる猛暑関連銘柄は、これは冷夏の年を除けば現在も1年に1度、出番が回ってくることとなっている。

気温の上昇と関連商品の売上高の相関関係については、気象庁が、日本チェーンドラッグストア協会の協力のもとにまとめ、今年5月13日に公表した「気候リスク管理技術に関する調査」が参考になる。それによると日焼け止めは、基準温度(約摂氏10度)に対して5度上昇すると販売数増加の目安は約4.7倍、殺虫剤(ハエ・蚊用)は、5度(基準温度摂氏18度)上昇すると同約3.2倍、虫さされ薬も同様に約2.6倍、スポーツドリンクも5度(同25度)で約1.6倍となり、経口補水液の熱中症搬送者数との相関関係も分析された。要するに猛暑関連商品が、気温の上昇とともに売れ足を好調に伸ばすことは間違いないのである。

株式市場では、これまで何度も猛暑関連相場が展開されたが、この10年来で最も印象に残っているのは、リーマン・ショックが突発する直前の2008年夏である。この年は、未成年者の喫煙を防ぐtaspo(成人識別ICカード)が導入され、コンビニエンス各社の店舗にタバコのまとめ買いと猛暑関連商品買いが集中し売り上げが大きく伸び、大手コンビニ株の株価は、年初来安値から年初来高値まで50%~70%高した。株式相場全般は、なおギリシャ問題でなおジメジメ長梅雨模様だが、それだからこそこの際、天候そのものが、長梅雨が続き冷夏となるのか、それとも平年では7月21日ごろとなる関東甲信地方の梅雨明け後に一転して猛暑が到来するのか、お日様と相談しながら一足も二足も早く猛暑関連のディフェンシブ株投資の先取り戦略を練って置いて損はない。(本紙編集長・浅妻昭治)

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