ダブルで出遅れている資源関連株に「Buy in June(6月に買え)」が浮上の余地=浅妻昭治

<マーケットセンサー>

米国の相場格言の「Sell in May, and go away(5月に売り逃げろ)」を懸念した5月の日米両市場は、相場格言がうれしい読み違いで、空振り三振に終わってくれた。むしろ「Buy in May(5月に買え)」が正解だったようで、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は、月半ばに史上最高値を更新し、日経平均株価も15年1カ月ぶりの高値まで買い進まれた。とくに日経平均株価は、NYダウが最高値後にもみ合いを続けているのを尻目に、「米国離れ」のムードを強め、月末まで11営業日続伸となり、約27年ぶりの連勝記録の更新にチャレンジしている。

これは大幅増配・自己株式取得などの積極的な株主配分策を打ち出す銘柄が広範囲に及び、為替相場も、月末にきて1ドル=124円台央まで円安・ドル高が進んで業績上ぶれ期待を強めていることが背景となっている。ただここにきて年初来高値を更新している銘柄は、日経平均株価が、15年1カ月ぶりの高値水準で、予想PERも16倍台にあるだけに、より出遅れ株シフトが鮮明になっている。

その代表は金融株で、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東1)が、3月期決算と同時に自己株式取得を発表して年初来高値追いとなったことにリードされ、メガバンク株、地方銀行株、さらに生命保険株、損害保険株、証券株などに出遅れ買いが広がった。この高値水準でも金融株は、まだPBR1倍割れ水準にあり、日経平均株価構成の225銘柄で47銘柄に達するPBR1倍台割れのなかで、11銘柄が金融株で占められなどプレゼンスを高めている。

さて6月相場である。米国の相場格言流にいえば「Sell in June(6月に売り逃げろ)」となるのか、それとも引き続き「Buy in June(6月に買え)」となるのかは、もちろん為替動向やギリシャのデフォルト(債務不履行)問題、米国FRB(連邦準備制度理事会)の金利引き上げ動向などの外部要因に左右されることになり予断を許さない。ただ5月相場と同様に「Buy in June(6月に買え)」となるとすれば、出遅れ株シフトは相変わらず市場の有力なトレンドになるはずである。そこで6月相場でぜひ「Buy in June(6月に買え)」を一考したいのが、ダブルで出遅れている究極の割り負けセクター株である。

資源関連株である。同関連株は、米国原油先物(WTI)価格が、今年3月18日のザラ場に1バーレル=42.03ドルと2009年3月以来6年ぶりの安値に落ち込んだことが響いて軒並み業績が悪化し、株価も急落した。3月安値は、2013年6月高値の105ドルから半値以下となる急落であったが、そのWTI価格は、前週末29日の取引時間中には一時1バーレル=60.70ドルまで戻し、3月安値からの上昇率は44.4%に達している。ところが資源関連株の年初来安値からの上昇率は、WTI価格の上昇率の半分以下にとどまっている。これが最初の出遅れポイントとなる。

第2の出遅れポイントは、PBR評価である。日経平均株価構成の225銘柄もうち、PBR1倍割れ銘柄は、前記のように47銘柄に及んでいるが、このうち資源関連株は、石油関連株に大手商社株、海運株まで含めれば10銘柄に達し、金融株の11銘柄にほぼ肩を並べる。これは、金融株と異なって自己部式取得を発表した三菱商事<8058>(東1)を除くと、増配程度にとどまって目立った株主配分策がなく、しかも、原油先物価格も為替レートも、なお今期期初の想定水準にはまだ届かず、業績も減益を見込んでいる銘柄が多いことなどが要因となっている。

もちろん資源関連株の出遅れ株買いが成立するには、WTI価格が、現状の60ドル台レベルをキープすることはもちろん、一段とリバウンド幅を拡大できるかが前提となる。FRBの金利引き上げ時期、一部でバブルともいわれる米国の「シェールオイル革命」の先行き、さらには中東の地政学リスクなどがこのポイントになるが、これをウオッチしつつ6月相場での究極の出遅れ株買いのタイミングを図りたい。

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